祝W受賞 大多喜町のタケノコマイスター

 「友だちからは時々ふざけてタケノコマイスターと呼ばれます。でも、ちょっと誇らしい気持ちです」と素直に喜びを語る千葉県立鶴舞桜が丘高校食とみどり科の岩瀬駿さん(17)。タケノコマイスターとは岩瀬さんの造語でタケノコの栽培、加工、販売などタケノコすべてに精通した人のこと。
 昨年夏、日本学校農業クラブの千葉大会にあたる夏の意見発表でタケノコをテーマに最優秀賞を受賞した。思い通りの時間配分と発表態度で終えることができ、自信があったので、会場で最優秀賞と聞いたときには「やっぱりそうかと心で受け止め、上を向きました」とさわやかな笑顔を見せる。さらに昨年11月、『タケノコマイスターになりませんか』とのタイトルの作品で農業などに携わる人を応援する毎日農業記録賞の毎日新聞千葉支局長を受賞した。
 岩瀬さんの住む夷隅郡大多喜町平沢はタケノコ栽培が盛んだ。春になると地域の農家が一斉にタケノコを収穫し、道の駅などで販売したり、観光農園を開いたりする。岩瀬さんの家も地域で唯一インターネット販売をする兼業のタケノコ農家だ。ただ、残念なことに同地区でタケノコ栽培をする農家は年々減り、今では17戸だけになった。少子高齢化で荒れ放題になっていく竹林。野生害獣の被害もある。岩瀬さんは家業を手伝うなかで地区の抱える問題に気付き、タケノコ栽培を守ることで地域おこしをしたいと考えた。
 「平沢のタケノコは美味しい」という言葉をかけられると励みにはなるが、賑わうのは収穫期の春だけ。そこで「春はタケノコ、夏はホタルとキャンプ、秋は紅葉、カキやクリ、シイタケ狩り、冬は星空で町おこしをしたらどうだろう」と思い付く。提案を受けた祖父と父親のやりとりからは、岩瀬さんのやる気を温かく見守る家族の姿も伝わってくる。
 タケノコマイスターとはまさにタケノコを世話する体力、親竹を残す選別の目を持つ祖父や父のこと。岩瀬さんは、タケノコマイスターという言葉が全国に広まるようなタケノコ農家になりたいという大きな目標を掲げ、「一人でも多くの人に四季折々素晴らしい平沢の里山風景の魅力に気付いてもらったり、タケノコ農家になってほしい」と張り切る。
 実際に、春の人出を期待し桜や梅の苗を植える、ホタル観賞会を開くなど地域活性化対策をする地区の手伝いもしながら、ハイキングコース作りや古民家再生などのアイデアの実現を進めている。タケノコ掘り体験に来た観光客にインタビュー形式のアンケートも取ったそうだ。
 学校では剣道部と弓道部の部長。担任の小澤みさ子教諭は「視野が広く、周りの状況をきちんと判断して気配りができます。信頼できる生徒です」と高く評価する。「今年こそ全国レベルで賞を狙いたい」と意欲を燃やす岩瀬さん。「最近凝っているのはお茶を飲みながら星空を観察することです。月明りに照らされた竹林の素晴らしさに癒されています」とのこと。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】チバニアンガイドの皆さん  2020年1月、市原市田淵の地磁気逆転層を含む地層『千葉セクション』がGSSP(地質年…
  2.  前回、近い将来起こるであろう世界的な食糧問題について書きましたが、多くの学者は、私達が生き延びるには人間が何万年と育んできた古来からの農法…
  3. 【写真】『音楽堂in市原《私の十八番》ガラコンサート』にて。ヴァィオリン・川井郁子さん、ピアノ・熊本マリさん  市原市市制…
  4. ホソミオツネントンボ(越冬中)  日本では200種ほどのトンボが生息しているとされています。主に、春から秋に観察でき、身近…
  5. 【写真】いちはらフィールドマップ巡り・市原にて  市原市姉崎在住の石黒修一さん(76)は、『地域を知り・守り・愛する』とい…
  6.  近年、湾岸沿いの工場夜景が注目され、ナイトクルーズが運航されるほどになっていますが、多くの石油・化学工場が林立する市原市の五井・姉崎海岸付…
  7. 【写真】ダリア花(茂原市立美術館蔵)  2月14日(水)~3月24日(日)、茂原市立美術館で、千葉県誕生150周年記念事業…
  8.  今回は、自分の好きなベストスリーに入る監督を取り上げます。読者の方々には、作品は知っているけれど、監督には馴染みがない、という方もいらっし…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】チバニアンガイドの皆さん  2020年1月、市原市田淵の地磁気逆転層を含む地層『千葉セクション』がGSSP(地質年…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る