シベリアから飛来 いすみの冬空に舞うコハクチョウ【いすみ市】

いすみ市下布施の県道沿いの田んぼでは、冬の間、コハクチョウの群れが餌をついばんでいる。大多喜町在住の土屋治雄さんは、その姿を写真に収め、観察を続けている。
 土屋さんといすみのコハクチョウの出会いは、2008年頃のこと。いすみ市高谷にある『いすみ環境と文化のさとセンター』の施設の1つである『トンボの沼』でコハクチョウの写真を目にした。その写真が『トンボの沼』で撮影されたものと知り、驚いたのが始まりだった。しかし、その後現地でコハクチョウの姿が見られなくなり、再度その姿を目にすることはすぐには叶わなかった。数年して、たまたまいすみ市下布施で車を走らせていた時、田んぼにコハクチョウの群れを見つけたのが2012年だった。
コハクチョウは夜の間、池や湖などを寝床とし、朝から夕方までは餌場で過ごす。土屋さんは、1週間から10日に1度のペースで下布施に通いながら写真を撮り、初めのうちは何気なく数を数えていたが、2014年からは日付と場所、数を記録するようになった。今冬の記録では、10月20日に初めて6羽を確認、1月15日には104羽にまで増えた。場所は、下布施の中で3カ所あり、いずれかで過ごしていることがほとんだ。
「私は専門家ではありませんが、毎年観察しているうちにいろいろなことがわかってきました。さらに詳しく知りたいと思っています」と土屋さん。例えば、シーズンに初めて確認する羽数。6羽や7羽という数が多く、その内訳が成鳥2羽と幼鳥3~4羽であることから、1つの家族なのだろうということがわかってきた。実際、ハクチョウの家族の絆はとても深く、ツガイはどちらかが死ぬまでずっと一緒に過ごすのだという。また、群れで餌を食べている時、1羽だけ周りを警戒するかのように離れて立っている様子を目にすることもあるそうだ。
 田んぼで過ごすコハクチョウの様子は、実にのんびりとしている。たまに羽を広げたり、仲間同士でつつきあったり、追い払ったりするしぐさもみせる。幼鳥は、大きさはすでに親鳥とさほど変わらないが、童話『みにくいアヒルの子』にもあるように、体は灰白色をしていて、遠目からでも区別がつきやすい。カラスやアオサギが近くに来ても、お互い知らんぷりだ。春が近づくと、またシベリアへ帰って行く。早ければ2月中旬頃から数が減り始め、3月の初旬にはほとんど姿が見られなくなる。
「千葉でコハクチョウの飛来地というと印西市が有名ですが、私たちのこんなに身近な地域にも毎年飛んできています。地元のもっと多くの方にコハクチョウの事を知ってもらい、大切に見守ってほしいと思います」と土屋さんは話している。
問合せ:土屋さん
mail:haruo.tu@icloud.com

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