ショウブの花咲く~オープンガーデン~ 白井「田園」【長南町】

 長南町の緑豊かな田園風景のなか、茅葺き屋根の古民家と周囲に咲くハナショウブ。風情ある花スポット、白井『田園』だ。「母屋は祖父が建てたもので、ハナショウブは父が数株ほど植えたのが始まり。母が周囲の田んぼで種類や株数を増やしてきました」と話すのは、白井恵美子さん(71)。母・幸子さん(95)が丹精込めて世話してきた庭を、中心となって管理している。

 白井『田園』が開園したのは、1978年。幸子さんが「自分たちだけ見ているのはもったいない」と無料公開にした。茶道や華道をしていた幸子さんは野点や生け花展も行い、その後、油絵や俳句も始めたことで、写生会やアート展、コンサートなどの文化的イベントに発展した。「じつは、開園した3年後に父が55歳で亡くなり、女ばかりの家族で米作りが難しくなったんです。当時は稲作からの転作が奨励されており、母はショウブを育てることで、土地を守っていた面もあると思います」と恵美子さん。
 中学教師をしていた恵美子さんは、仕事の合間に幸子さんを手伝い、学芸員資格も取得して、イベント企画などを積極的に担当。幸子さんと同じく茶道も習っており、一緒に野点もしたという。「最盛期には約2000坪の敷地に500種10万株が咲き、大勢の方で賑わいました。早朝から撮影する写真家や、画家や俳人の方も来園したり。母とふたりで茶道を教えていたので、母屋にある茶室も使って、茶会をしました。着物姿の参加者が園内をそぞろ歩いて、雅びやかな雰囲気でしたよ。毎年春と秋にアート展も開いていました」。

取材日は開園初日で、ショウブは1~2分咲き。6月10日前後が満開の予想という。

 花がとても好きだった幸子さんは、敷地内に多くの草花や茶花も植えたそうだ。この時期は、卯の花、琉球月見草、キスゲの仲間のヘメロカリス、ホタルブクロなどが咲く。「母はショウブの彩りにもこだわり、同じ花の色が固まって咲かないよう、しょっちゅう園内で植え替えをして庭も自由にデザインしていました。ショウブ園と庭は、母のキャンバスだったんだと思います」
 幸子さんが脳梗塞で倒れたのは2012年11月。その後、家族や親戚を中心に、友人や近所の人たちの協力もあって、恵美子さんたちは規模を縮小しつつも毎年ショウブを咲かせている。2017年には開園40年記念誌を作成、両親とショウブ園の足跡もまとめた。「私も昨年9月から今年3月にかけて、ごく初期の肺がんや動脈瘤など、3つの大きな手術をしました。幸運にもどれも大事には至らず、おかげで今年の花は、感慨もひとしおです」と言う。

ウシとトラ(奥)のオブジェ

 昨年に続き、今年は感染対策でイベントは行わないが、現代アート展は『丑寅祭り』として実施。野外展示されている造形作家の柴田美千里さんのウシとトラのオブジェにちなみ、疫病退散の伝統の祭りである福島県会津の『丑寅祭り』から承諾を得て展示会名にした。母屋にはウシとシマウマの小型のオブジェも並ぶが、どれも子どもたちに人気で、触ったり登ったりして遊ぶのだという。母屋は一昨年の大雨で床上浸水となり、畳をはがした板張りのままだが、幸子さんの絵や縁ある作家の作品などが飾られている。人の『舌』をモチーフにしたオブジェやイスもあり、初めて見ると驚かされる。恵美子さんは「以前とは違って限定公開ですが、ゆったりのんびりしていただきたいです。来年は魔除けの赤色を使った茶碗などで、野点ができれば」と笑顔で語った。
開園は6/20までの(土)(日)のみ、10~16時。入場料大人200円。駐車場無料。
長生郡長南町岩川738
TEL.090-3575-1253

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