茂原SBC 息の合う仲間とつかんだ栄冠~関東小学生男・女選抜ソフトボール大会初優勝~【茂原市】

 茂原市の小学生男子ソフトボールチーム『茂原SBC』は4月、茨城県で開催された第32回関東小学生男・女選抜ソフトボール大会で初優勝を飾った。32回を数える同大会で、雨天中止で2チーム同時優勝の年を除けば、過去の優勝は神奈川県勢の独壇場だった。今大会は千葉県勢が単独で頂点に輝いたということでも、初の快挙となった。

『4アウトをとろう』

 昨秋の新人戦で出場権を獲得し、関東大会に臨んだ茂原SBC。「正直、勝てるとは思っていなかった」と話す熱田康太郎監督が、「もしかしたらいけるかもしれない」と感じたのは、1回戦でエースの東條佑紀選手が最終7回裏にランニングホームランで1点を許したものの、14奪三振の好投で3対1と勝利した時だ。「東條投手はコントロールが良く、投球の体感速度は120~130㎞、ボールを受けるキャプテンの宮崎陽翔(はると)捕手とのコンビネーションも抜群」と、熱田監督。監督の予感通り、神奈川県勢が対戦相手となった準決勝と決勝では、4対3、5対4と、ともに1点差の緊迫した試合を見事に勝ち切った。勝因は、「3試合とも先制点がとれたこと。ここぞという時に打って、ここぞという時に守ることが出来た。2日間で子どもたちは大いに成長しました」と、監督の顔から笑みがこぼれる。実のところ、大会前の練習試合は7戦全敗。監督は選手たちにコミュニケーション不足など、いくつかの問題を投げかけた。子どもたちも真剣に意見を出し合い、3つアウトをとるまで気を抜かないために『4アウトをとろう』を合言葉として、全員が意識を変えプレーすることが出来た。

 今大会では、子どもたちは泊りがけで試合に行くのが初めての体験だった。準決勝と決勝を控えた大会2日目の朝、引率の保護者が子どもたちを宿舎近くの海岸に連れ出し、朝日を浴びる砂浜で円陣を組み、全員で気合を入れた。宮崎キャプテンは、「県外のチームとあまり試合をしたことがなかったので不安でしたが、チームが1つとなり最後まで勝ち抜くことが出来ました」と話す。1回戦で3塁打を放った長谷山選手は、「もう少しでホームランだったので悔しかった」、その後3塁上の長谷山選手をスクイズで生還させたソウザ選手は、「バントは好きなので、点が入ってうれしかった」と振り返る。監督だけでなく選手たちも1回戦の勝利で士気が上がり、大きな自信が芽生えた。大会の要所でヒットやフォアボールなどのチャンスメイクをした井下田諒矢選手は、「守備をしまっていこうと集中していた」、決勝の初回、先頭打者としてセンターへ2塁打を打った松本颯太選手は、「チームを勢いづかせることが出来てよかった」と、白い歯を見せる。保護者たちもチームを称える。「今までにない集中力をみせてくれた」「子どもたちが生き生きとしていて感動しました」。

メンバー募集中!

 チームの拠点は、茂原市の富士見公園多目的広場。練習はいすみ市の『子山SBC』と合同で行っている。『子山SBC』からは関東大会でも4人のメンバーがチームに加わり、共に戦った。毎週土日と祝日の8時半~16時には、グラウンドに元気な声が響く。6年生が引退し、新チームで挑んだ11月の新人戦は4位だった。今後の目標は、来年4月の全日本小学生男女ソフトボール選手権大会千葉県予選会でベスト4以上の成績を勝ち取り、再び関東大会に出場することだ。新チームのエースで5年生の原田琉那(るな)選手は、「体力作りに励んで、コントロールも良くしたい。6年になったら今の佑紀くん(東條投手)を抜きたい」と頼もしい。

 茂原SBCは、2019年に茂原市内の複数チームを統合し、市で唯一の少年ソフトボールチームとして活動している。熱田監督がソフトボールの指導を始めた30年程前には、市内だけで30チーム作れるほどの人数がいたという。現在は少子化やスポーツの多様化で、チームは選手不足に悩んでいる。「ソフトボールは全身を使って行うスポーツで、筋力や瞬発力が鍛えられます。ボールやバットを扱いながら、どうすれば安全にプレーできるか、子どもの頃からしっかり考えられるようになります。基礎体力をつけながら、一緒にソフトボールを練習してくれる子どもが1人でも多く増えたらと願っています」と監督は語る。「メンバーは学年の垣根なく仲が良くて、いいチームです」「監督はいいところをほめて伸ばしてくれるので、本人もやる気が出ます」と話す保護者同士も和気あいあいとした雰囲気だ。茂原SBCは随時メンバー募集中。詳しくは問合せを。

 

問合せ:茂原SBC 宮崎さん
Tel.090・6834・6536

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