心を癒すハワイアンヴォイス

フォーク&ハワイアンシンガー 谷山 俊夫 さん

 ゆったりとした独特の音の揺れが特徴的なハワイアンミュージック。気だるい夏の午後に聴くと、その気だるさが心地よさに変わるようなあの余韻はボトルネックと呼ばれるガラス製のものでギターの弦をこするスライディング奏法によって生み出される。元々、アメリカの黒人が酒瓶の首の部分を切り取って指にはめ、ブルースを演奏していたことからそう呼ばれるようになった。
 複数のウクレレやギターをかき鳴らす賑やかなイメージもあるが、市内在住のTanyこと谷山俊夫さん(60)が奏でるハワイアンは一味違う。しっとりと落ち着いた雰囲気、爽やかで流れるようなハワイアンヴォイスは聴く者を魅了する。市原市、千葉市のレストランやバーでハワイアンとフォークソングを中心としたギターの弾き語りライブを行っている他、両市と都内でウクレレ教室を開いている。今夏から始まった上総更級公園センター前での月に1度の野外ライブ『ハワイアンの夕べ』にも出演した。同ライブでの演奏を聴いた人は「親しみやすいアーティストです。散歩していてもつい耳を傾けちゃう。惹きつけられますね」と話した。ライブはソロで出演することもあれば、バンドやフラダンサーがつくこともある。
 民謡に演歌、ジャンルこそ異なるが音楽を嗜む家で生まれ育った。物心がついた頃から歌うことが大好きで、小学校に上がる頃には近所の人からクラシックギターを借りて弾くように。当時聴いていた音楽はラジオから流れてくる『禁じられた遊び』など。楽譜は読めなかったが、聴いた音楽をすぐに表現できる才能を当たり前のように持ち合わせていた。中学生の頃はエレキギターでザ・ベンチャーズ、ライブ活動や音響活動を始めた高校時代以降は、かぐや姫のナンバーを中心としたフォークソングとブルース、中でもアメリカのギタリスト、ロイ・ブキャナンに傾倒していた。「暗めの洋楽ばかり聴いていました。日本語が耳障りに聴こえ、英語がわかるわけでもないのにラジオは専らFEN(当時の米軍放送網)でしたね」と笑う。
 20歳の時に北海道苫小牧市から上京、両親が内装業を営んでいたこともあり、都内のデザイン研究所でインテリアについて学ぶ傍らアマチュアロックバンドを組みエレキギターを弾きまくっていた。アップテンポな曲よりもスローバラードが好きだった谷山さんがハワイアンに目覚めたのはHAPA(ハパ)の『ピカケ(白い小さなお花)のレイ』を耳にしてから。「ハワイアンというと賑やかなイメージだったから、男性デュオ、ギター2本で演奏するシンプルな構成が新鮮だった。長年培ってきた自分の感性にピタリとはまりました」ハワイアンを歌うようになったのは2003年頃。ウクレレも始めた。ダンサーがつき、イベントとしても盛り上がるのでライブ出演の機会が増えたという。同年に千葉市中央公園で開かれた『アロハフェスティバル in CHIBA』では「ウクレレ1本で、ダンサーと観客、合わせて約500名が踊ってくれた。感激しましたね」と振り返る。だが、ウクレレについては「シンプルなだけに奥が深い。誰が弾いても同じように聴こえるところを、いかに自分だけの音、人との違いを出すか。並々ならぬ努力が必要です」と、その難しさについて語る。
 現在行っているライブでは、『真夏の果実』や『恋のバカンス』など有名なポップスをハワイアンにアレンジしたり、苦手とするアップテンポな曲も自己流に編曲、バンド仲間に助けてもらいながらレパートリーに組み入れ、観客が楽しめるステージを作り上げている。
 音楽の才能に長けた谷山さんだが、実は様々な顔を持つ。阪神大震災のあと動物保護施設でボランティアをしたことがきっかけで愛玩動物飼養管理士の資格を取得。1999年に市原市に移り住んだのも、ボランティア時に市原動物病院の獣医師と出会ったことがきっかけ。その他、ペーパークラフト作家、建築模型を作製するモデラー、ウェブデザイン、パソコンの講師なども手がける。
「上手に歌うことができるという才能を実感するとともに感謝しています。今後はCDを出したりユーチューブにアップしたりして、もっと多くの人に自分の歌を聴いてもらいたい」谷山さんは、ハワイで最も権威のあるフラ・コンペティション『メリーモナーク・フェスティバル』で何度もチャンピオンの座を勝ち取っているチンキー・ホマエ氏からも高評価を得ている。素敵な歌声に癒されたい方は各ライブに足を運んでみては。
 市原市でのウクレレ教室は三和保健福祉センターで行っている。詳細とライブ情報はホームページ要チェック。

問合せ 谷山さん
TEL 090・8108・2040
ホームページ www.tany.me


Warning: Attempt to read property "show_author" on bool in /home/clshop/cl-shop.com/public_html/wp-content/themes/opinion_190122/single.php on line 84

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  2.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  3.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  4.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  5.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  6. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  7.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る