房総往来

房総ジビエの勧め 山里吾郎

 先日、ジビエ料理を頂く機会を得た。市原市を代表する老舗のうなぎ店。店名を書けば誰もが『あぁ』と頷く著名な和食店だが、ここの主人(中村社長)が市内飲食店の先頭に立ってジビエ料理の創作・普及に力を入れている▼温暖さに加え豊かな自然と竹の子や木の実などの豊富な餌。房総半島は猪や鹿などの野生動物にとって格好の棲み処となり、農作物などの被害は深刻さを増すばかりだ▼棲息地も県央部の房総丘陵が中心だったが年ごとに周辺地域を侵食、最近は都市部でも猪の姿が見られるようになった。県も猟友会などと協力して捕獲に力を入れているが、旺盛な繁殖力の前になかなか実効につながらない▼そこで「市原うまいもの会」を主宰する中村社長がジビエ普及に乗り出した。「嫌われものの有害鳥獣も調理法を工夫すれば素晴らしい食材に生まれ変わる」|これが房総ジビエの原動力だ。いくら捕獲を呼び掛けても廃棄中心の処分法では限界がある。美味しく食べることで有効利用につなげ、県民意識を高める。今では県・市も普及に本腰を入れ、定期的に「房総ジビエフェア」が開かれるまでになった▼話を冒頭に戻すと、まずテーブルに上ったのは薄くスライスした猪肉。脂をまとった牡丹色がいかにも色鮮やか。中村社長自らすき焼き鍋で軽く焼いてくれ、野菜、椎茸などの具材と一緒に特製だれで煮付ける▼「もういいよ。猪は余り煮ない方がね」。社長の合図で箸をのばすと思わず「旨い」。当方の笑顔に社長の顔もほころぶ。さらに猪のコロッケ、ソーセージ、鹿肉の生姜焼き…。どれも野性味たっぷりの旨さ、酒も手伝い体中がポカポカと野生のエネルギーに包まれた。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…
  2.  昭和を代表するスター「石原裕次郎」は今年、生誕90年。映画やドラマで大活躍し、歌手としてもヒット曲多数。誰からも愛された「裕ちゃん」の魅…
  3.  鉄道写真愛好家の皆さんへお知らせです。今年6月5日(木)~6月10日(火)に開催予定の『小湊鐵道を撮る仲間たち展』に写真を出展いただける…
  4.  今年は小湊鐵道開業100周年。これを記念し、アートによる地域づくりの拠点である市原湖畔美術館は、小湊鐵道とコラボプロジェクトを進行中。小…
  5.  成田山公園で毎年行われる冬のイベント「成田の梅まつり」。会場は成田山新勝寺大本堂の奥、16万5000平方メートルもの広大な公園。四季折々…
  6. 【写真】パキスタン・カラチの整備途中の農場で、働く青年たちと田中さん(前列右端)      36年間の市議会議員のあと、パキス…
  7.     ◆一席 記念日を遅れて祝い根にもたれ  一宮町 黒猫胡桃     ・老プランあまく見積り火の車  茂原市 道譯賢…
  8. 【写真】講演する家田さん      昨年12月、市原市市民会館で開催された『令和6年度市原市人権・男女共同参画フォーラム』。男…
  9. 【写真】はにわ博物館展示室の姫塚埴輪        昨年8月、千葉県殿塚古墳・姫塚古墳出土埴輪(総数48点うち殿塚古墳30点、…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 当ホームページは、2/17に新ホームページのオープン予定のため、情報掲載が1/31までとなります。 2/17までに開催するイベント等…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る