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道や線路に人生のイメージを重ねて
- 2018/5/25
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(写真↑ 新国立美術館での第一美術協会展に出展した作品)
市内上高根に住む神山節子さん(70)は、油絵を始めて約20年。第一美術協会に所属し、三和コミュニティセンターの絵画サークル・一彩会と自宅で、主に市原市内の風景を描いている。先月、国分寺台にある市原市民ネットワーク・アートギャラリーで個展を開催した。「絵を始めたのは、何か一つくらい趣味を持とう、と思ったことがきっかけ。仕事の合間、夜にできるものを探して、自宅から近い三和コミュニティセンターに電話をしました。絵は子どもの頃から好きでしたし、自宅でできると選んで。今になると、年齢など関係なくできるので良かったと思います」
続けてこられたのは、一彩会の和やかでファミリー的な雰囲気のおかげと言う。「講師の高橋光夫先生に出会えたことが大きかったですね。高橋先生は第一美術協会評議員で日本美術家連盟会員。昨年には藍綬褒章も受賞しています。私の入会時のメンバーは5~6名で、今でも続けているのは私だけになってしまいましたが、雰囲気は変わらずアットホーム。ヘタでも長く続ければ何か表現できるようになりますから、楽しく描いてきたのが良かったのだと思います」と神山さん。
自宅には、これまでの大小様々な作品が飾られ、置かれている。そのモチーフは道とコスモス。特に道は多く、「漠然と道=人生と重ねているのかもしれません」と話す。「曲がっている道をよく描きます。行き先がある、という意味も投影しているのだと思います。光の入れ方も大事で、道の先を明るく表現するのが好きですね。これも未来が明るい、というイメージです」。描く風景は外に出かけて探す。ほとんどがすぐ行ける市内だが、いくらでも絵になる場所があるのだと言う。「風景を見たときにいいな!と思うと、それを描いた絵も良いものになります。想像力である意味手を加えて、よりいい風景に再構成する感じです。邪魔な電線を描かなかったり、山の色合いを増やしたり明るくしたり。同じモチーフを描くことによって、様々な表現も学べます」
現在は、6月下旬から五井で開催される総美展用に、小湊線上総大久保駅の近く、線路の風景を20号の作品として描いている。立体的にカーブした線路、背景の山の配置がとても良くて、モチーフにしたそうだ。その次は夏の県立美術館で行われる第一美術協会の展示会。こちらも小湊線の線路のある月崎の風景で仕上げたいとのこと。「私にとって、絵を描くのは、精神的エネルギーの補充です。次は何を描こうかと考えるのも、風景を探しにいくのも楽しいので、無理せず続けたいと思っています」