「認知症の不安があるなら、切り絵で自己防衛を」

「認知症の不安があるなら、切り絵で自己防衛を」

 山武郡九十九里町在住の井上常雄さん(71)は、10年ほど切り絵を楽しんで制作している。定年後も62歳まで働き、茂原市にある千葉県生涯大学校へ、毎週1日2年間通った。そこで、切り絵サークルの作品を見て、やってみたいと考えた。もともと細かい作業は好きで、40代からはプラモデル作りに夢中になり、1千点のパーツを組み合わせ、ハーレー(バイク)を作ったことも。
 ただ、絵を描いた経験はなかった。でも、切り絵サークルの人たちが切り絵作家の作品を利用しているのを知り、それなら自分でもできると思った。「もう、このトシになって絵の勉強から始めるのでは大変だけど、販売するのでなく趣味で制作する分には、プロの作品を使わせていただいてもいいのなと」、井上さんは話す。
 そして、自己流で制作を始めた。まずは作品の原画探し。「切り絵の本は、あまり出回っていないので、神田の古本屋を回って買い求める」。切り絵作家の美術館にも足を運んだ。そして、6年前に初の個展を開催。翌年も開催した。「作って満足するのでなく、人に見てもらい評価してもらうと、やり甲斐がある」という。
 昨年、心臓弁膜症になり人工弁をつけた。無事、退院後、2度の個展を開いたアートサロン茶房けい(一宮町)のオーナーから個展開催を勧められ、今春、個展を。50点展示。大勢の来場者があり、中には過去2回の個展も来てくれた人たちもいた。
 井上さんは「3、4年前までは半日かかりっきりで制作しても平気だったが、最近は2時間ぐらいで疲れてしまう。でも、毎日何かしら切っている。細かいものを切るから集中力を要する。常に色々と頭に入れて考えて完成させるので脳が活性化される。認知症の不安があるなら、切り絵で自己防衛をと、お勧めしたい。来年も個展を開きたい」と笑顔で語る。


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