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祝W受賞 大多喜町のタケノコマイスター
- 2018/2/23
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「友だちからは時々ふざけてタケノコマイスターと呼ばれます。でも、ちょっと誇らしい気持ちです」と素直に喜びを語る千葉県立鶴舞桜が丘高校食とみどり科の岩瀬駿さん(17)。タケノコマイスターとは岩瀬さんの造語でタケノコの栽培、加工、販売などタケノコすべてに精通した人のこと。
昨年夏、日本学校農業クラブの千葉大会にあたる夏の意見発表でタケノコをテーマに最優秀賞を受賞した。思い通りの時間配分と発表態度で終えることができ、自信があったので、会場で最優秀賞と聞いたときには「やっぱりそうかと心で受け止め、上を向きました」とさわやかな笑顔を見せる。さらに昨年11月、『タケノコマイスターになりませんか』とのタイトルの作品で農業などに携わる人を応援する毎日農業記録賞の毎日新聞千葉支局長を受賞した。
岩瀬さんの住む夷隅郡大多喜町平沢はタケノコ栽培が盛んだ。春になると地域の農家が一斉にタケノコを収穫し、道の駅などで販売したり、観光農園を開いたりする。岩瀬さんの家も地域で唯一インターネット販売をする兼業のタケノコ農家だ。ただ、残念なことに同地区でタケノコ栽培をする農家は年々減り、今では17戸だけになった。少子高齢化で荒れ放題になっていく竹林。野生害獣の被害もある。岩瀬さんは家業を手伝うなかで地区の抱える問題に気付き、タケノコ栽培を守ることで地域おこしをしたいと考えた。
「平沢のタケノコは美味しい」という言葉をかけられると励みにはなるが、賑わうのは収穫期の春だけ。そこで「春はタケノコ、夏はホタルとキャンプ、秋は紅葉、カキやクリ、シイタケ狩り、冬は星空で町おこしをしたらどうだろう」と思い付く。提案を受けた祖父と父親のやりとりからは、岩瀬さんのやる気を温かく見守る家族の姿も伝わってくる。
タケノコマイスターとはまさにタケノコを世話する体力、親竹を残す選別の目を持つ祖父や父のこと。岩瀬さんは、タケノコマイスターという言葉が全国に広まるようなタケノコ農家になりたいという大きな目標を掲げ、「一人でも多くの人に四季折々素晴らしい平沢の里山風景の魅力に気付いてもらったり、タケノコ農家になってほしい」と張り切る。
実際に、春の人出を期待し桜や梅の苗を植える、ホタル観賞会を開くなど地域活性化対策をする地区の手伝いもしながら、ハイキングコース作りや古民家再生などのアイデアの実現を進めている。タケノコ掘り体験に来た観光客にインタビュー形式のアンケートも取ったそうだ。
学校では剣道部と弓道部の部長。担任の小澤みさ子教諭は「視野が広く、周りの状況をきちんと判断して気配りができます。信頼できる生徒です」と高く評価する。「今年こそ全国レベルで賞を狙いたい」と意欲を燃やす岩瀬さん。「最近凝っているのはお茶を飲みながら星空を観察することです。月明りに照らされた竹林の素晴らしさに癒されています」とのこと。