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お茶の道、一味くわえた嗜みを
- 2018/12/7
- シティライフ掲載記事, 外房版

茂原市在住の木下周一さん(66)は今年10月、日本グラフィックサービス工業会主催で朝日新聞などが後援する第21回日本自費出版文化賞で、著書(茶名、木下宗周名義)の『茶の湯文様ものがたり五十帖』が研究評論部門賞に選ばれた。
「茶道を始めたのは30年ほど前のことです。都内で営んでいたデザイン事務所の近くのカルチャーセンターで、なんとなく気になっていたお茶を習い始めました。その後は先生のお宅へ稽古に通い、男性だけの会に入るなどのめり込みました」と、話す。きものや陶芸が好きなど茶道を始めるきっかけはそれぞれ。木下さんも習っているお茶の中に、自分らしさを見つけたかった。
「香合や茶器、茶釜などに入っている文様に興味が湧き、古典文献を漁るように読み始めたのが20年ほど前。以来、280件の資料を参照して制作したのが同著になります」と、まさに研究論文だ。
四季折々、様々な花や生き物、景色が描かれる茶道具。グラフィックデザイナーとして著書の編集デザインにも力を入れた。著書の中では文様のひとつずつに焦点を当て、古典文学や茶書を引用しながら意味や由来を丁寧にまとめている。「たとえばトンボの文様に関して言えば、古典を読み解くと日本文化の中でトンボがどう表現されていたか、どんなお茶人が好んでいたかなど分かるんです。調べるほどに奥深く、他に類を見ない書だと思います」
お茶の楽しみ方は色々だ。だが、掛け軸や花々を愛でるだけでなく、さらに文様を通して茶道具の先に見える過去の景色や文化を語り合えたら、なんと粋なことだろう。購入についてなど詳細は問合せを。
問合せ 木下さん
TEL 0475・22・4168