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趣味を越える喜びをくれた木版画
- 2018/12/7
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11月8日(木)から13日(火)まで大網白里市にある大里総合管理株式会社内のギャラリーで開催されていた『小瀧理 木版画の世界と私』展。小瀧理さんは大網白里市在住で、木版画を始めて40年以上が経った。今回初めての個展だったが、多くの来場者の声に「大きな作品を新たに2つほど制作して、また来年も開催できたら」と意気込んだ。
小瀧さんは新潟県出身。高校時代の友人が新潟県にある万代橋を題材にした版画入りの年賀状を送ってくれたことが、版画への道へ進むきっかけとなった。「当時は日本橋の会社に勤めていて、自宅が日野市にあったので、中間にある新宿の木版画教室に3年ほど通いました。今までに作った作品は大きいものが30、小さいのは60くらいあります。今でも繋がっている教室の仲間たちは、仕事を抜きにして付き合えたかけがえのない存在です」と、小瀧さんは笑顔で話す。 教室を卒業後も、仲間たちとグループ展を行ったり、合作で版画カレンダーを制作したりしてきた。何冊も書きためたデッサンノートには、いわしや風景などジャンルも様々。会場に並べられた額縁には、ルーブル美術館で見たミロのビーナスの背面姿、御宿から連想する月の沙漠、娘さんが飼っていたアビシニアンの猫など10点が並んでいた。
「私は特に思想がなく、果物や花、動物や風景など目に映った色んなものを描きます。毎年の年賀状では、干支を使ってどんな作風にするか楽しみながら描き続けています」と、小瀧さん。そんな小瀧さんの版画年賀状の魅力は、画のアイディアにある。巳年には、そのままの蛇の姿を描くのではない。皮むき途中のリンゴの画。その剥いた皮はとぐろを巻いており、先端に蛇の顔があるのだ。酉年には、敢えて珍しいハトを選択することも。「いい虎でしたね、との声を貰った時は、やはり嬉しかったですね」と振り返る小瀧さんは、これからも年賀状に版画をほどこしていく。
また、27年続けている仲間との版画カレンダー作りも好調だった。「今でこそ日にちの部分は印刷会社に頼んでいますが、初めは仲間内で数字もすべて彫った上で白黒のカレンダーを作っていたんです。会社員時代、多い時には600部くらいの売り上げで大変でした。人によっては10数部購入して、お歳暮として使ってくれたんです。嬉しいですよね」と、頬が緩む。
2006年に千葉へ転居してからは、都内の集りに行くことも楽しみの一つに。「ここは都内に近くて野菜や魚が美味く、温暖で住みやすい」という小瀧さんは、「これからは地元を題材にした作品を作りたいですね。オリンピックの会場にもなる一宮の海に行って、サーファーを描いてみたいです」と、最後に語った。作品についてなど詳細は問合せを。
問合せ 小瀧さん
TEL 0475・72・1906