『槙の会』の歴史と思い
- 2013/5/2
- 市原版
『槙の会』の歴史と思い
4月21日(日)、『千葉に棲む文学人』全6回シリーズの第1回目が南総公民館で行われた。文学サークル『槙の会』のメンバーが6回にわたってそれぞれ講演をするもので、第1回目は本紙でもお馴染みの農民作家、遠山あきさん(95)がゆっくりとした口調で、時折クスッと笑える冗談を交ぜながら「『槙の会』のできるまで」について話した。遠山さんは農業の傍ら、自分の体験を元に書いた私小説で農民文学賞を受賞、多数の著書を出している。「私は晴れ女なのですが」と話し始めたこの日は冷たい雨が降り続いていたが、39名の参加者たちが遠山さんの講演に熱心に耳を傾けた。
千葉の文化振興を目指すため昭和30年から始まった千葉日報主催の『千葉文学賞』や『千葉児童文学賞』などの各受賞者同士で交流し、互いに研鑽し合う場を持ちたいと考えた遠山さんをはじめとする有志数人が、毎年各受賞者に呼び掛け、同じ思いを持った仲間を集めた。そのグループが『槙の会』であり、日本古来の文字文化を守ることに深い喜びを感じながら活動を続け、今年で結成37年になる。槙は千葉県の県木で、県の後援への感謝の意を込めて名付けた。現在の代表は農学博士でもある三好洋さん。会員数は12名で、手作りの同人誌『槙』を毎年1冊発行しており、現在『槙36号』の作品を吟味中だそう。表紙のイラストも会員の手によるもの。
また、遠山さん自身の幼少時代の懐かしい記憶についても語った。養老川の流れが続く不思議について父親に尋ねたら、ポツンと「輪廻だよ」と教えてくれたことが心の奥深くにしみこんでいるという。目の前に、幼少の頃の遠山さんが浮かび上がってくるようだった。
同シリーズの第2回目は5月19日(日)、三好さんによる『房総の土と風土と文学』以降11月まで松葉瀬昭さん、岸本静江さん、磯目健二さん、勝山朗子さんによる講演が予定されている。
問合せ 南総公民館
TEL 0436・92・0039