ふるさとビジター館
虹色に輝く羽で優雅に舞うチョウトンボ
チョウのようにヒラヒラと優雅に飛翔するトンボがいる。名前も中途半端な「チョウトンボ」。しかしれっきとしたトンボで、時折直線的に飛行し、俊敏に昆虫を捉えて食べる。市原でもヒシやアサザなどの浮葉植物や、ガマ、アシ、マコモなどの抽水植物などの水草がある湖沼で群れをなして飛ぶ姿が見られる。
腹長は20~25ミリほどで小さめ。羽は全体的に青紫色、前羽は細長く、後羽は幅広く大きいのが特徴だ。雄の羽は強い金属光沢を持ち光の角度によって虹色に光る。光によって羽の色がこんなに変化するトンボは少ない。
チョウトンボの撮影をする時は、いかに美しい色で撮影できるか太陽の方向を考慮し、立つ位置やレンズの向きを考える。それでも思うようにはできないが、時に眩ゆいばかりの色彩で撮影できたときは、何だか得した気分になる。キラキラと乱舞している様は、眺めているだけでも飽きない。
青紫色の羽の先端は無色透明で、その面積や境界の模様は個体ごとに異なる。いわば指紋のようなものだ。そのため、一般的なトンボの個体識別が困難であるのに対し、チョウトンボは可能だ。特定の個体を追いかけることで縄張り行動やディスプレー、交尾、生息期間など把握できる。また、一頭ごとに名前をつけて楽しむこともでき、観察もより楽しくなる。
農薬や埋立てなど開発の影響で減少が言われており、千葉県レッドデータブックのCランク(要保護生物)に位置づけられている。ただ、池の管理の名目で水草をキレイに取り除いてしまうと、激減したケースが何箇所かあり、管理方法の影響が大きいと感ずる。人間の都合だけでなく、生き物を思いやるような湖沼の管理方法が望まれる。
虹色に輝くチョウトンボの観察は心ときめくものだが、炎天下の中になる。熱中症対策を忘れずに!
ナチュラリストネット/岡 嘉弘