一文字に思いを込めて
- 2013/8/16
- 市原版
一文字に思いを込めて
6月13日に『一文字書を楽しむ』と題された書道教室がアネッサで開かれた。7月4日までの毎週木曜日に、60歳以上を対象に毎年行われている4回シリーズの講座だ。「漢字は一文字それぞれに意味があります。だから作品になるんです」と話すのは書道家、金澤嶺雪さんの弟子である大野蘭秀さん。同講座の講師を務める。
書体には楷書、少し崩した行書と草書、看板などに使われている横長の隷書、古代文字で造形的な篆書と金文などがあることや漢字の成り立ちについて説明をしたあと実技に。種々の漢字が様々な書体で書かれた30枚ほどの手本の中から好きなものを選ぶ。「雅」、「寿」、「福」など「前向きなイメージの文字ばかりです。書きたいと思う字を色々とたくさん書いてね」明るく、気さくな大野さん。一人一人に書き方の手本を見せ、丁寧に指導する。「いいですね、素晴らしい!」とほめられた参加者は嬉しそう。
筆は各自が持ち易い方法でよいが、軽く握ること。筆の軸は必ず立て、ひじを上げて大きな円を描くように動かすのがポイント。小学校で習った楷書は、とめ、はねなど筆の穂先をしっかり出す露鋒という書き方。隷書や篆書、金文などは、筆の穂先が筆画の外に表れないよう、穂先を包み込むようにする蔵鋒という書き方を用いる。行書と草書は筆の流れ次第で使い分ける。書き順についても、上から下、左から右など字の基本はあるが、筆使いによって、特に金文などはどこから書いても問題ないのだとか。
静かに、あるいは楽しくおしゃべりしながら様々な字に挑戦する参加者たち。そんな中で「夢」という字ばかり練習している男性が。「孫が『夢』という名前なんだ」と笑顔で教えてくれた。初回は半紙に練習するだけだったが、次回からは白いうちわと色紙に書いていく。最後に、一番気に入った作品に自分の印として雅印を押し、2階のギャラリーに展示する。