一文字に思いを込めて

一文字に思いを込めて

 6月13日に『一文字書を楽しむ』と題された書道教室がアネッサで開かれた。7月4日までの毎週木曜日に、60歳以上を対象に毎年行われている4回シリーズの講座だ。「漢字は一文字それぞれに意味があります。だから作品になるんです」と話すのは書道家、金澤嶺雪さんの弟子である大野蘭秀さん。同講座の講師を務める。
 書体には楷書、少し崩した行書と草書、看板などに使われている横長の隷書、古代文字で造形的な篆書と金文などがあることや漢字の成り立ちについて説明をしたあと実技に。種々の漢字が様々な書体で書かれた30枚ほどの手本の中から好きなものを選ぶ。「雅」、「寿」、「福」など「前向きなイメージの文字ばかりです。書きたいと思う字を色々とたくさん書いてね」明るく、気さくな大野さん。一人一人に書き方の手本を見せ、丁寧に指導する。「いいですね、素晴らしい!」とほめられた参加者は嬉しそう。
 筆は各自が持ち易い方法でよいが、軽く握ること。筆の軸は必ず立て、ひじを上げて大きな円を描くように動かすのがポイント。小学校で習った楷書は、とめ、はねなど筆の穂先をしっかり出す露鋒という書き方。隷書や篆書、金文などは、筆の穂先が筆画の外に表れないよう、穂先を包み込むようにする蔵鋒という書き方を用いる。行書と草書は筆の流れ次第で使い分ける。書き順についても、上から下、左から右など字の基本はあるが、筆使いによって、特に金文などはどこから書いても問題ないのだとか。
 静かに、あるいは楽しくおしゃべりしながら様々な字に挑戦する参加者たち。そんな中で「夢」という字ばかり練習している男性が。「孫が『夢』という名前なんだ」と笑顔で教えてくれた。初回は半紙に練習するだけだったが、次回からは白いうちわと色紙に書いていく。最後に、一番気に入った作品に自分の印として雅印を押し、2階のギャラリーに展示する。
 

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1.  キセキレイは、よく街中で見かけるハクセキレイの仲間ですが、個体数が少なくなっていることや、渓流や川原などの水辺を好んで生息しているため、ハ…
  2. 【写真】神明さん(左)と宗形さん  丸みのある可愛いフォルムから奏でられる心地よい音。それこそ、オカリナの最大の特徴である…
  3.  今年の夏休みのこと。学童保育のイベントで夏祭りを企画し、子どもたちは、紙で作ったお金で出店屋さんで買い物をしました。一人5百円をどう使うか…
  4.  9月の終わり頃にチャドクガの幼虫(毛虫)の毛に触れてしまったようです。チャドクガは蛾の一種で毛先に強力な毒を含んでおり、お茶の木、サザンカ…
  5.  私の生まれ育った芦別は北海道のほぼ中央に位置し、四季折々の美しい自然と星空に恵まれた町です。  昭和59年に「星の降る里」を宣言し、昭和…
  6.  きつね色にこんがり揚がった生地と香り高いカレーの取り合わせが人気のカレーパン。市原市五井西の『クロワッサンファクトリー五井店』の『じっくり…
  7. 【写真】「陰陽師と式神・外道」復元模型 国立歴史民俗博物館蔵  佐倉市の国立歴史民俗博物館にて、企画展示『陰陽師とは何者か…
  8.  市原市在住の俳人である大関博美さんは、俳句結社「春燈(しゅんとう)」と俳人協会の会員であり、今年7月『極限状況を刻む俳句 ソ連抑留者・満州…
  9.  今年は黒澤明監督生誕100年記念。前回に続き、48年前に行った『黒澤明監督5作品48時間フエスティバル』について、上映作品を時系列に紹介し…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】神明さん(左)と宗形さん  丸みのある可愛いフォルムから奏でられる心地よい音。それこそ、オカリナの最大の特徴である…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る