幽玄の美に触れる

中学生
幽玄の美に触れる

 日本の伝統芸能である能の体験授業を市原市謡曲連合会が八幡東中学校で行った。9月中旬、1年生58人が1日目は教室で映像などを使って歴史や形態を学び、2日目には武道場で実際に能を体験した。
 能は大きく言えば日本のミュージカルやオペラといえる。笛、小鼓、大鼓、太鼓を鳴らす囃子方が楽器演奏をし、独特の節回しの謡と語りで登場人物と合唱担当の地謡が物語を語る。多くの物語の登場人物は能面をつけ、美しい能装束でゆったりと舞う。無駄をそぎ落とした型によって演じられる舞台は幽玄の美とも称される。歴史は古く、1300年ほど前に中国から伝わった散楽がルーツだという。650年ほど前、将軍足利義満に見いだされた観阿弥、世阿弥親子によって高度な舞台芸術に育てられ、時代の趨勢を経て今日に伝わった。
 同会の鈴木靖さん(68)は「日本の伝統美が集約されている能は奥が深い。心の奥まで響く囃子、韻を踏んだ美しい言葉の謡と魅力は尽きない」と話す。能楽(能と狂言)は世界無形文化遺産である。
 武道場に集合した1年生を前に「君たちが特別に興味を持たない限り、能に触れることは一生なかったかもしれない。大切なことが学べる日」と話したのは学年主任の醍醐利幸さん(35)。
 はじめに生徒たちは同会会長の山崎重勝さん(74)の説明で会員12人による能を鑑賞した。披露されたのは結婚式などでも謡われる『高砂』の連吟、昔話『天女の羽衣』のもとになったという『羽衣』の仕舞、小鼓や大鼓などの囃子の実演。その後、3グループに分かれ、順番に謡、仕舞、小鼓の手ほどきを受けた。謡は発声法のコツを「お腹に力を込めて」と教わり、正座をして一斉に「高砂や」と低い声で唸った。「うまいですね」との講師の言葉に緊張気味だった生徒は少しリラックスした表情に。正座に不慣れな様子の男子も小鼓体験では音が出ると嬉しそうな笑顔をみせた。仕舞の構えは「膝を軽く曲げ、腕は大きなものを抱えるような形に」と教わると、中学生たちは袴姿の男性の所作をまね繰り返した。
「小鼓は握り方や打つところで音が変わり楽しかった」、「中腰で踊る舞はすごい」など感想を話した子どもたち。授業を終えた山崎さんは「素直な中学生ばかりで50分という少ない時間でも基本的なことは伝えられた」とほっとした様子。中学校の学区で横断歩道の旗振りもする鈴木さんによると今回の授業は「国際化社会になり、若い人は外国人と接する機会も多くなる。世界に誇れる日本文化を中学生に知ってほしいと学校に話し、実現した」という。
 市原市謡曲連合会は観世流、喜多流、宝生流とあり、それぞれ公民館などに教室がある。来年3月2日(日)、市民会館にて、年1度の3流派合同発表会を開く。今年7月には八幡駅の展示スペースで歴史、能装束や面などを紹介した。

問合せ 鈴木さん
TEL 090・9732・7791

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