新しい年、明ける

新しい年、明ける
遠山あき

仲良しの早苗さんから新しい年のカレンダーが送られて来ました。手作りで手描きの絵もついています。めくれば、どのページも胸を打たれる言葉ばかりでした。
九十六歳になる私の少し皺がよって堅くなり、動きの鈍くなった心臓がその時、大きくドキンとしました。
「探せば 出る出る
不満のたね
なくても有る有る
幸せのたね
探そう 探そう
心のたねを!」
そうなのです! 人間って我が侭ですね、不満の種は次々にでてくるのです。探さなくても、出るわ出るわ、不満!不満。不満に食われてしまいそうなほど……。でも、幸せの種は無かったのかしら? 私の中に。ウロウロ探してみる。やっぱり無いのかしら?
 アッ! こんなすみっこのところに隠れてた! 小さいけれど、ポロリ、あったかいわ! 拾ってみた。アレ?その下にも転がっていた! ちゃんと有ったのよ、幸せの種は。探してみなかっただけなのでした。有りましたよ、有りました! 大きいのも、小さいのも、コロコロッと。
九十六年もの間、私の心の眼は、その時どこを見ていたのかしら。不満に目がくらんで、見えなくなっていたのに違いなかったのです。長い長い時間の中で、私の目は時々焦点を失っていたのかもしれません。見えなかった幸せの種をしっかりと握りしめました。早苗さんに感謝です。ありがとう!
「種があれば 咲かない花も きっと咲く
芽が出て 葉が出て きっと咲く」
そうよね、それが自然の摂理です。
皆さん! 今年もよい年でありますように……。
☆大正6年(1917)、大多喜町生まれ。昭和11年、千葉県立女子師範学校卒、教員となる。昭和14年、結婚、千葉市に住む。昭和19年、戦災のため夫の郷里の市原へ。その後、農業に従事。昭和42年、農民文学会に入会、執筆活動に入る。小説『鶯谷』で農民文学賞受賞。平成6年、保護司の活動の実績が認められ藍綬褒章受賞。文学同人『槇の会』主宰。

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