書の甲子園で大賞! 篆刻の世界に浸る
- 2014/1/24
- 市原版
県立市原八幡高校3年の仁平綾香さんが、『第22回国際高校選抜書展』で大賞を受賞した。身長ほどもあろう全紙に押された印は21個。数センチ四方の印材に、印刀で文字を刻む篆刻を始めたのは高校生になってから。
「習字は小3から始めて、中3の頃に一度書道を辞めようとしたこともあった。高校に入って書道部に入り篆刻を知った。書道を表す形が1つでないことを知って興味が湧いた。篆刻は筆と違って、彫り終わった時の達成感がある。今回は受験と平行して作品を仕上げたので、大賞という結果に驚いた」と綾香さん。応募点数は約17000もあり、同校での大賞受賞者は初。
石印材は固く、字を彫るまでのヤスリをかけて朱墨を塗る布字という作業はとても根気が必要だ。顧問の澤本華世子教諭は、「高校生で篆刻をここまでやり遂げられる生徒はいない。印刀の扱い方は難しく、彫り進めながら2人で文字を鏡に写して確認したりした。卒業後は看護関係へ進むので時間もなく大変だろうが続けてもらいたい」と話す。
「大変なほうがやりがいもある」と明るく語る綾香さんの今作品は、中国・清の時代に独自の篆刻を確立した呉昌碩の作品を模刻したもの。「一番小さいのは1.5センチくらい、大きいと5センチ四方。中に文字を彫る白文より、文字を彫り残す朱文の方が好き。初めは難しかったし、今でも文字を鏡のように写すのは慣れないけれど、没頭できるところが魅力」と作品を前に笑顔を見せた。