地球一周クルーズ

朝日と出会いを葉書絵に

 3カ月で約20カ国を回り地球を一周する船旅、NGO団体ジャパングレイスが運営するピースボート。市内在住、小杉文晴さん(73)は、船上から見た世界各地の海や太陽、出会った人々などを葉書絵に描き続けている。初めてピースボートに参加したのは6年前。昨年の第80回クルーズで4回目の参加となる。
 横浜港を出発し、太平洋を西に向かってシンガポール、インドを通り、紅海に入る。スエズ運河を抜けて地中海へ。途中、バルセロナ、カサブランカなどの港に立ち寄りながら大西洋を横断、石巻を経由して帰港。コースは毎回異なり、寄港地での過ごし方も、観光ツアーに参加する人、国際交流ツアーに参加する人、独自で出かける人と様々。そんな中、リピーターの小杉さんは船上で過ごすことが多いという。
 乗船したきっかけは「3カ月間、船の上で自分の時間を好きなように使えるのがいい。人と話したくなればデッキへ出る。コーヒーを飲みながらの会話は楽しい。若い人が多いので活気があります」と穏やかに話す。テレビやラジオがない代わりに、船内では運動会やファッションショー、ダンスパーティー、水彩画教室に語学教室など多彩なイベントが繰り広げられる。
 小杉さん自身も『世界の朝日を日本へ送ろう』を企画。毎朝、船上で仲間と葉書絵を描く時間を楽しんだ。25年前に四国遍路に出かけたのをきっかけに続けている葉書絵。「芸術は落書きだ」と説く彼が描く人物画は特徴を具現化したイラスト的なもの。遊び心のある楽しい絵だ。一方、空模様や波の表情を描いた風景画は数色を重ね塗りし、心のイメージを表した印象派のようなものが多い。「水平線からきれいな朝日が見えるのは10日に1度くらいです。あとは雲の中。それでも朝日は出ているのです」様々な風景に日付と時間、場所、コメント、自作の落款が添えられている。朝日だけではなく、夕日を描いたものもある。
 クルーズが終わる度に、描きためた葉書絵の個展を開く。5月に稲毛で開いた個展では約600枚の葉書絵ほか油絵など多数の作品を展示した。船上で出会った仲間や葉書絵を通じて知り合った友人を含め、220余名が会場に足を運んだ。中には福岡県など遠方から駆けつけた人も。作品の売り上げ金は、全額を東日本大震災被災者への教育資金を援助する『桃・柿育英会』と『国境なき医師団』に寄付する。
 来年4月には5回目の乗船を予定している。新たな葉書絵コレクションが増えるのは楽しみだ。

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