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中南米、アジア、旅先の風土の中でも作品制作「日本古来の配色や海外の装飾に用いられてきた色の組み合わせに興味がある」
- 2014/9/12
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マクラメづくりと旅写真 関田裕明さん
ひと昔前ほど若者が海外へ旅することが少なくなったと言われる昨今。いすみ市岬町のマクラメアクセサリー作家、関田裕明さん(33)は「自分の暮らしている環境とは全く違った環境の場所に行くことが楽しい」と、大学生の時にニュージーランドへ、卒業後はワーキングホリデーの制度を利用してオーストラリアへ、その後、現在に至るまでアイルランド、ミャンマー、インド、中南米各国、ベトナムと旅をしてきた。マクラメ制作を始めてからは、現地でも制作をしながら天然石の仕入れをし、訪れた先々での風景や人々の写真を撮影する旅を続けている。
マクラメとの出会いは3年前。ペルーとボリビアにまたがるチチカカ湖周辺の路上で、マクラメアクセサリーを作っている人たちを見かけた。紐と紐を結ぶ装飾技法の総称で「結びの手工芸」とも呼ばれるマクラメ。大昔から日本を含め世界各国で継承されてきた。お馴染みのミサンガ編みやヘンプ編みと、基本的な結び方や編み方は同じだ。紐を指で引き締めるように編みながら装飾模様を作り出していく。
それまで、趣味のものづくりとして、ちょっとした家具やインテリアなどを作ったことはあったが、格別アクセサリーに興味を持っていたわけではなかった。ところが、「そこで見たマクラメの持つ雰囲気に惹かれ、帰国する前までに作り方を習得したい」と思うほど魅了された。更に、「蝋引き紐と鋏と石があれば、どこでも作れる。マクラメを作って売り、その資金で旅を続ける多くの作家たちの姿を見て面白いなと思った」。そしてマクラメを幾つか購入し、作家たちから作り方を伝授された。
帰国後はマクラメ制作に専念する日々を送っている。現地で技術を習得し、そこで作られている作品に触れているせいか、彼の作品には異国情緒が感じられ、デザインのバリエーションも豊かで、鮮やかな色づかいのものもあれば、シックな色調のものもある。絶妙な配色と編み込み技術の融合からは、オリジナルのハンドメイドアクセサリーの魅力が伝わってくる。作品づくりについて、「しっかりとした目の詰まりのある編み目を作るよう意識しています。マクラメの仕上げの良さは、それが重要だと思っています。今後は、今あるデザインを軸に新たな色の組み合わせの発見をしていきたい。日本古来の配色や海外での装飾で用いられてきた色の組み合わせに興味があります」と話す。次の旅は、冬にインドへ天然石の買い付けに行く予定。マクラメの魅力を尋ねると、「水に強く耐久性もあり、身に着けるうちに風合いが出てくること」と答える。彼自身も自作のマクラメを身に着けており、ナチュラルな印象で男性の購買者がいるのにも納得がいく。
「写真はライフワーク」と話す関田さん、旅先でのマクラメ製作と同時に「旅写真」を撮る。「『旅写真』は、あくまで自分自身の記憶の記録。その場の雰囲気や出会った人、その時に思ったことや感じたことを、あとで思い出せるようにと写真に残しています。だから僕の写真は何かメッセージを伝えようとか、芸術作品として鑑賞してほしいというものではなく、楽しんで見てもらえたら。僕の写真に関心を寄せてくれる人や撮った国々に興味を持ってくれる人には現地の様子を伝えたいですね」と話す。
現在、愛用しているカメラは、1950年代に販売されたバルナックライカⅢf、1970年代に販売されたペンタックスMX、ペンタックスK5Ⅱsの3台。状況に応じて撮り分けている。「旅にはデジタルとフィルム両方持っていきますが、日常の写真はフィルムで撮ることが多い」とか。岬町で生まれ育った関田さん。地元の風景を撮影した作品も多い。2011年から2012年にかけて撮影した作品を1冊にまとめた『外房モノクローム』には、「この1年で岩が崩れてきている」岬町の通称「雀島」こと津々ヶ浦海岸や、オススメの夕焼けスポット「御宿南側の海岸」を撮影した作品が収められている。
10月3日(金)から13日(祝)(10~17時)まで、いすみ市桑田の『蔵ギャラリーjiji』で『TRIPTRACKS 旅の写真展』を開催する(入場無料)。TRIPTRACKS(トリップトラックス)には、旅(TRIP)の足跡(TRACKS)という意味を込めている。関田さんのマクラメ作品も展示され、開催期間中は常駐するとのこと。是非、この機会にマクラメと写真作品をご覧になってみては。
問合せ 関田さん
TEL 090・2666・3229
http://triptracks.jp