房総往来 夏の風物詩

山里 吾郎

夏の夜空を彩る花火大会は、その舞台からさしずめ“水と山”に大別できようか。同じ花火でも会場の背景によって、美しさや雄大さが大きく変わってくる▼海や川など「水」を背景にした“水上花火”は何と言っても水面に映えるキラキラ感、例えれば派手な美しさか。逆に“山花火”は静けさの中に演出される大輪と大音響、こちらは素朴な臨場感が持ち味か▼かつては館山や銚子、小見川などで毎夏のように水の花火を楽しんだ。半分は仕事だったが、自分が若かったせいもあるのだろう。派手な美しさは夏の風物詩そのものを感じさせた。逆にこの2、3年は妻の実家がある長南町で山の花火を満喫している▼今年も盆休み最後の8月17日、山に囲まれた小さな町は、ふる里の“山花火”を心待ちにしていた近郷在所の人たちで大きな賑わいをみせた。会場となる総合グラウンド(長南中隣)の周辺道路は早々と交通規制され、多くの観客が見物場所を求めて右往左往。圏央道が開通したことで実家下の道路脇に出来た広いスペースもたちまち見物客で埋まった▼午後7時の開演から2時間半、次々と打ち上げられる光の競演に合わせ大音響が山間部一帯を包み込む。スポンサーの関係もあるのだろう。かつての二尺玉こそ無くなったが、ズシリと響く大輪の“音玉”は山花火の醍醐味を堪能させてくれた▼ところで隣接の市原市では今夏、恒例の高滝ダム花火大会が中止された。聞けば財政難が理由らしいが、秋に移行された市民まつりに続いて盆時期を彩る夏のイベントが消え、帰省してきた市民も寂しい思いをしたのでは…。

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