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海で戦い、海で癒され、海をこよなく愛する
- 2014/9/19
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ボディボーダー 相田 桃さん
いすみ市岬町在住の相田桃さん(21)は、長生郡の一宮海岸で日々ボディボードの練習に励んでいる。日に焼けた肌に笑顔を浮かべ、「ボディボードは私の人生を変えてくれた。そして、道を作ってくれた」と強く話す。相田さんがボディボードを始めたのは小学校6年生の時。2歳上の姉の影響だった。ボディボードとは、1メートルほどの合成樹脂で作られた板の上に腹ばいになって波に乗り、技を競う競技。「2歳半から水泳をしていたので水に対する恐怖心はなく、すんなりと溶け込めた。サーフィンに比べれば簡単ですよ」と相田さん。
2009年には全日本級別サーフィン選手権で優勝、2011年には全日本選手権を初制覇した。現在は、元世界チャンピオンの小池葵さんに師事し、アマチュア大会とプロ大会への出場を続けている。アマチュアでもプロの大会に出場可能で、大会で12位に入ればプロの資格が与えられる。相田さんも資格を得てはいるものの、「私は試合が大好き。今はアマチュアでいたいから」という。自身の性格を『負けず嫌い』と評するように、「人と闘うのが楽しい。試合で勝つ時がなによりも嬉しい」のだとか。
ボディボードは波に乗りながら回る技が多い。コーチの指導の下1年中練習をし、日によって違う課題に取り組んでいる。「海に行って、人の練習を見ることもすごく勉強になる。波の中で走っている位置や動きを学べる。真冬は寒いので、ハワイやバリに行って練習。今年は40日間過ごした。波も良いし、水もとても綺麗。なかでもバリが好き」と目を輝かせた。日本の海はほぼ砂浜なので、台風などの影響で地形が変化しやすい。それにより地形が変わるので、波も変わりやすい。だが、海外の海は岩やリーフであるため地形が変わらず、いつでもいい波がたちやすい。
水泳の他にも、中高生時代にはヨットやカヌー、ボートなど水に関連したスポーツを経験してきた。朝海に入ってから、学校へ行き、また学校から海に行く。相田さんの生活には、常に『海』が共存していた。「休日や放課後、学校の友達と自由に遊びに行きたいと思ったこともある。でも、海に行けば海の仲間もいる。波に乗ることも楽しくて、私は結局海に行っていた」と振り返る。
長生郡一宮町には、母親の営むサーフショップがある。颯爽とボードを手にして、店の前にある海に向かう彼女の後ろ姿は、21歳にしては大人びているように見えた。「ボディボードのおかげで海外に行く機会も多く、視野は広がった」という相田さん。ボディボーダーとしての将来についても、決して現実から目を逸らすことはない。「ボディボードは業界も小さく、プロの選手でも職業はかけ持ちをしている。教育や看護系などいろんな職業をしている人もいる。私には、他に何ができるのかと考えている」と語った。
近い将来、語学留学のためアメリカに渡ることを目標としている。海外で同じ選手同士、言葉が通じなくても大抵のことは通じてしまう。だが、もっとコミュニケーションを取りたいと願っているのだ。
なぜ、何かで戦うということは人をこんなにも強くさせるのだろう。「今はポイントコールといって競技中に波に乗るごとに点数をコールしてもらえる。コールを聞いて順位と点数を考えて、逆転のために技を変えることも可能。私はプレッシャーを感じないので、それをうまく使えるのが勝因のひとつかな」と話すが、なにより長年の練習も身体に染みついた勝利の証だろう。「去年クラゲに刺された」と指差す左足の傷跡まで、彼女のボディボーダーとしての勲章に見える。
そして、「行ってみたい外国はグアムやスペインのイビサ島。海がとっても綺麗なんです!私が好きな場所とか行ってみたい場所は、常に海に繋がってしまうんですよね」と苦笑い。休日にはショッピングをしながらのんびり過ごし、同じ試合に出場した仲間と遊びに行くこともある。「まずは語学留学が目標だけど、その前にプロになりたいな」と語る彼女の笑顔に、大きな刺激を受けた。