最高の道楽 日本ミツバチの飼育

「1、2か月と寿命の短い日本ミツバチの働きバチが一生に集められる蜜は小スプーン一杯程度。けなげに蜜を集める姿が愛しい」と話すのは茂原市に住む日本ミツバチ同好会会長の古山幸雄さん(67)。自宅の庭には木をくり抜いた蜂洞式、重箱式などの巣箱がいくつも置かれ、日本ミツバチを誘引する香りを持つシンビジウムの仲間キンリョウヘンが植わる。
 ミツバチを飼う養蜂は西洋ミツバチが主流である。しかし、数年前、輸入バチの病気、ダニや農薬被害などで西洋ミツバチの減少が取りざたされ、日本に昔から生息する日本ミツバチが見直された。採蜜量が少なく、デリケートで気に入らないと突然巣箱から群れごと逃去するので養蜂には向かないとされてきたが、性格はおとなしく、病害虫に強く、蜂蜜は複雑な味わいがあるという長所を持つ。明治時代に西洋ミツバチが持ち込まれるまでは各地で飼われていた。外見は西洋ミツバチより少し小さく、腹部の縞が太く、背中が黒っぽい。
 臨床検査技師だった古山さんが日本ミツバチを飼おうと思ったのは55歳のとき。在来種で巣箱を置くと自然に巣を作ると知ったからだ。はじめは巣箱を金属製のポスト、カラーボックスなどで作ったがミツバチには見向きもされなかったという。たまたま営巣し大喜びした箱も、オオスズメバチに襲われ3カ月で巣は壊滅するありさま。本を読み、友人から教わり、試行錯誤して「ミツバチの気持ちになれば居てもらえる」と気づき、泥や古木の粉を塗り、改良を重ねた。今までに作った巣箱は300個。ミツバチが入るようなったのは7、8年前で蜜も採れるようになった。
 古山さんは「家を貸して家賃がわりに蜜をいただく。おまけに周囲の里山も自分の領地のような気分になれる」と笑う。「これが分封」と見せてくれた写真は自宅のカキの木に留まる何千匹ものハチの塊。4月から5月にかけて群れの勢いが高まったときに新女王バチの集団を残し、巣を出た母女王バチの大集団は環境の整った引っ越し先(木のうろや巣箱)に移るまで一時的に元の巣の近くに蜂球を作る。養蜂家はこの蜂球を人為的に巣箱に取り込んで飼育するそうだ。
 ようやく「俺も一人前になれた」と思えたのは2、3年前。「最高の道楽」を人にも教えたくなり昨年『ミツバチ同好会』を立ち上げ講習会を開いた。するとハチ好きが40人近く集まり、無農薬・不耕起栽培の農業、自然エネルギーの利用、水を汚さない暮らし方にまで話題が広がりますます楽しみが増えたという。「思い通りにならない野生の昆虫を飼うと自然に対し謙虚な気持ちになる。受粉による農業への経済効果も高いので地域に広めて日本ミツバチの里にしたい」と古山さんは張り切る。

問合せ 古山さん
TEL 080・1153・2513
yukio.san-1947@docomo.ne.jp

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