歳月を経て、今だからできることは何なのか

 3月8日(日)、市原市役所前からバス3台が福島県へ発車した。早朝5時、あいにくの雨は例年より気温をぐんと下げた。「最終的にバス3台では足りない150名ほどの参加者になりました。支援場所はいわき市の四ツ倉と久乃浜でしたが、雨の影響で問題ばかり起こって大変でした」と話すのは、この被災地支援の中心的役割をこなした『いちはら有志の会』の藤田和利さん。
 支援の内容は大きく分けて2つ。1つは鶴舞桜が丘高校の生徒により育てられた約4000鉢の花を献花すること。そして、市原市内で活躍する『ホワイトハット』などのサークルが音楽やダンスを披露し交流をはかること。「予想外だったのは献花と音楽の両方においてです。『市原鼓友会』では太鼓、NPO市活会のバンドである『リバップ』は機材が濡れては困ります。ベリーダンスを披露した『ぷっちんべりんず』の子ども達はとても薄着なので風邪を引かないか心配でしたが、彼女達の熱い想いは大人達の心を大きく動かしました」と藤田さん。献花の鉢は、供養式典や地区で行われる卒業式・入学式で飾られた後、支所に配られる予定となっている。
「『ぷっちんべりんず』の子ども達は冷たい泥水の中、靴下一枚で踊ったりもしましたが、なにより来てくれた方たちの笑顔が嬉しかったようです」と話すのは、指導者のアコさん。『ぷっちんべりんず』はいわき市の仮設住宅も訪問したことがあり、今回もプレゼントとして自分たちで作ったアクセサリーを持参した。「寒くて足の感覚がなかったけれど、本当に楽しかったです」、「踊りを見て泣いている人もいたんです」と子ども達。
『リバップ』のメンバーである早川愛香さんは、「天気を心配しながら現地入りしたが、雨風が酷くなるばかり。音楽と言う形で私達の想いや笑顔、元気を届けるつもりが、逆にパワーと勇気、希望を頂きました。これから先も、出来る限り活動を続けていきたいです」と振り返る。
「福島を離れた人が、再び福島に戻って家を再建しているのには驚きました」とアコさんは話すが、4年経った今でも復興が万全に進んでいるわけではない。「現地の人に聞いたところ、送られた献花は昨年の半分になってしまっている。私は震災の記憶が歳月とともに風化していくのではないかと心配です」と藤田さん。だが、市原市から今回ボランティアで訪れた人は、昨年の30名を大幅に上回る増加数。『ぷっちんべりんず』が『リバップ』を含む大人達と楽しげに活動を振り返る様子を見ると、ボランティアの絆は現地だけでなく市原でも続いているのだと感じさせてくれた。同団体は、今後も継続的に支援活動を行っていく予定で、随時賛同者を募集している。

問合せ 藤田さん
TEL 090-3217-7455

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