認知症の人も介護者も、笑顔で語ろう

 市内玉前(たまさき)にある、庭付きの民家を利用した認知症カフェ『かさね』がオープンして1年が経った。運営にあたっているのは介護支援専門員や看護師などの福祉・医療関係者。座敷とテーブル、合わせて約35名分の客席を持つ。季節の花々が咲く美しい庭、明るい陽光が差し込む店内からは賑やかな笑い声が聞こえてくる。毎週火・木・土曜日の午前10時から午後3時まで(ランチは11時から14時まで)開いており、メニューはその日にある材料で決まる500円の日替わりランチのみ。畑から獲れたものや差し入れでもらった新鮮な野菜を使った身体に優しい手料理で、評判は上々だ。ランチ代と寄付金が運営資金となっている。
 認知症カフェといっても訪れる人は様々。認知症患者や介護者、福祉関係者もいれば、ワンコインで美味しいランチが食べられると口コミで聞いてやって来る人も多い。「スタッフもお客さんもここにいる人はみんな優しい。誰とでも自由に話ができる雰囲気がいい」と足繁く通う人も。また、妻の介護を始めて2年という70代の男性は「当初は苦しかったが、ここへ来て人と話すうちに楽になった。専門家がいてくれるから情報も得られる。『かさね』がなかったら、自分も認知症になっていたかもしれない」と話す。
 「認知症の人と、仕事以外で気軽に関われる場がほしいと思った」と運営代表の高橋瑞穂さん。「自分や家族が認知症になる前から出入りしていれば、不安になった時に相談もしやすいはず」気さくな人柄と広い人脈により、立ち上げ時には述べ約250名のボランティアが集まり、古くなっていた民家と庭を3カ月かけて蘇らせた。カフェの稼働を支えているのも約70名のボランティア。「庭の畑で野菜を作って下さる方、おうちの畑で穫れた野菜を差し入れして下さる方、店内の飾りを提供して下さる方など、様々な形で皆さんが協力してくれている。みんなでカフェを作り上げている感じ」あるスタッフは「昔のご近所づきあいみたいな不思議な空間。ここに来るのが楽しくて仕方がない。お客さんから感謝の気持ちをもらえるのも嬉しい」と笑顔で働く。
 今年度は新たな取り組みを試みるつもりだ。1つは、厚生労働省事業である『認知症サポーター養成講座』の受講者に同店へボランティアや客として来てもらい、認知症の人とふれあう機会を増やすこと。もう1つは、スタッフによる認知症患者の家族などへの積極的なアプローチ。専門的な知識を活かし、相談に乗ったり外出を促したりすることを検討している。
『かさね』という店名は、借りている民家の家主の名前が『かさね』さんだから。「語らう事で心をかさね ふれ合う事で夢をかさね 共に過ごす事で時をかさね 集う事でつながりをかさね たくさんの笑顔をかさねたい」そんなスタッフの思いがたっぷりつまった心温まるカフェ、一度足を運んでみては。

問合せ カフェ『かさね』
TEL 0436・21・3733

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