絵を描くことは、生きること

 病と闘いながら絵を描くことを始め、前向きに人生を歩んでいる人たちがいる。市内石川にある『介護老人保健施設クレイン』のデイケアに通っている橋村直子さん(67)、池田菊恵さん(61)、兵頭昌子さん(72)だ。切り絵や陶芸など多岐に渡る芸術活動を行っている介護職員、小堀隆治さんのすすめで施設内に飾られている花などを題材に絵を描き始めた。
 中学校の教師が前職の橋村さんは4年前に病に倒れ、右半身が麻痺してしまった。慣れない左手で絵を始めたのは2年前。絵手紙を描き、介護雑誌に応募したり友人に送ったりしている。「綺麗な色を見ていると明るい気持ちになる」と笑顔で話す。
 「3歳児みたいに、何にでも興味があるの」と茶目っ気たっぷりに話すのは兵頭さん。リウマチを患い、入退院を繰り返している。車椅子での移動で鉛筆を持つのもやっとだが、40年来の友人と絵手紙を交換する喜びを味わっている。
 池田さんは、長年保育士を続けてきたが突然の大病に襲われ、一時は心肺停止にまで陥った。一命はとりとめたものの、車椅子での生活を余儀なくされ視力障害を患うことに。「音だけの世界では生きていけない」と絶望的な気持ちになっていたところ、絵をすすめられた。「描けるわけがない」そう思ったが、リハビリの合間を縫って絵画に勤しんでいる橋村さんと兵頭さんの姿を目にし、気持ちが変わった。分厚いレンズを片手に池田さんが描くのは、短歌を添えた優しいタッチの絵。「絵は形になって残るので嬉しい」と微笑む。
 5月に施設内で絵画サークル『やまぼうし』を立ち上げた小堀さんは「次に何を描こうかなと意欲が湧くのがいい。病に負けず、再び輝いてほしい」と話す。来年は隣接する千葉県循環器病センターの展示スペースで展示会を計画中。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  毎月第1・3月曜日に、市原市福祉会館で開催されているのは『障がい者のヨーガ教室』。13時半から14時50分まで、講師の小林正子さんとアシス…
  2.  上総国の豪族・上総広常(?~1183)は、鎌倉幕府設立の功労者として歴史に名が刻まれる。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、広常が源頼…
  3.  茂原市谷本の住宅街で、工房・蔓gali(ツルガリ)を構える村越達也さんは、山葡萄(ぶどう)の籠バッグや財布を制作している。もとは旅行関係の…
  4.  大福山は市原市の最高峰。標高285mの山頂には日本武尊を祭った白鳥神社が鎮座し、東側の展望台からは北にスカイツリー、南には房総の山々が見渡…
  5.  サギの仲間のゴイサギ。目が赤く、頭部から背中にかけて灰青色、羽は灰色、腹部は白、足が黄色のずんぐりした可愛いサギである。幼鳥は全体が茶褐色…
  6.  現代の溢れる情報量の中、私達は様々な分野で物事を選択しています。日常の中で大なり小なり、必然的に繰り返される事柄の一つと言えるでしょう。こ…
  7.  8月、新型コロナウィルス禍を経て3年ぶりに第71回関東聾(ろう)学校野球大会が開催された。県立千葉聾学校野球部は優勝を目標に掲げるも、埼玉…
  8.  6月18日(土)、『天然ガスと茂原の未来』と題するシンポジウムが、茂原市で開催された。主催はもばら検定ガス博士実行委員会。『もばら検定ガス…
  9.  8月30日(火)~9月4日(日)、いすみ市大原文化センター2階(いすみ市大原7838)で、いすみ市在住の作家、松井美恵子さんが「コラージュ…
  10. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  毎月第1・3月曜日に、市原市福祉会館で開催されているのは『障がい者のヨーガ教室』。13時半から14時50分まで、講師の小林正子さんとアシス…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る