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絵を描くことは、生きること
- 2015/6/26
- 市原版, シティライフ掲載記事
病と闘いながら絵を描くことを始め、前向きに人生を歩んでいる人たちがいる。市内石川にある『介護老人保健施設クレイン』のデイケアに通っている橋村直子さん(67)、池田菊恵さん(61)、兵頭昌子さん(72)だ。切り絵や陶芸など多岐に渡る芸術活動を行っている介護職員、小堀隆治さんのすすめで施設内に飾られている花などを題材に絵を描き始めた。
中学校の教師が前職の橋村さんは4年前に病に倒れ、右半身が麻痺してしまった。慣れない左手で絵を始めたのは2年前。絵手紙を描き、介護雑誌に応募したり友人に送ったりしている。「綺麗な色を見ていると明るい気持ちになる」と笑顔で話す。
「3歳児みたいに、何にでも興味があるの」と茶目っ気たっぷりに話すのは兵頭さん。リウマチを患い、入退院を繰り返している。車椅子での移動で鉛筆を持つのもやっとだが、40年来の友人と絵手紙を交換する喜びを味わっている。
池田さんは、長年保育士を続けてきたが突然の大病に襲われ、一時は心肺停止にまで陥った。一命はとりとめたものの、車椅子での生活を余儀なくされ視力障害を患うことに。「音だけの世界では生きていけない」と絶望的な気持ちになっていたところ、絵をすすめられた。「描けるわけがない」そう思ったが、リハビリの合間を縫って絵画に勤しんでいる橋村さんと兵頭さんの姿を目にし、気持ちが変わった。分厚いレンズを片手に池田さんが描くのは、短歌を添えた優しいタッチの絵。「絵は形になって残るので嬉しい」と微笑む。
5月に施設内で絵画サークル『やまぼうし』を立ち上げた小堀さんは「次に何を描こうかなと意欲が湧くのがいい。病に負けず、再び輝いてほしい」と話す。来年は隣接する千葉県循環器病センターの展示スペースで展示会を計画中。