十人十色の味わい

写真 (右)成登さん

 5月末、更級にあるTTECビル『夢ホール』で『華根無会2015 成登やえ染色教室展』が開かれ、3日間で述べ約480人が来場した。成登さんが約40年前から北国分寺台で開いている染色教室の作品展だ。型紙に防染のための糊を置き、顔料で色をつけていく紅型染め、草木染めに藍染めなど様々な手法で染めた暖簾、バッグ、着物など約130点が自然光のたっぷり入る明るいスペースに展示された。人目を引いたのは中央に飾られていた大きなブルーの幕。芭蕉の葉の周りを色鮮やかな蝶が舞っている。有志7人で、型を使わず、躍動感のある絵柄に仕上げた。
 紅型染めは沖縄を代表する伝統的な技法で、大胆な色彩や模様が特徴。琉球王国時代、王族などの衣装を染める方法として親しまれていた。同じ型を使っても、色が違えば全く雰囲気の異なる作品に仕上がる。7色の顔料から選んだ好みの色を豆汁で手で溶き、布の上を刷り込み筆で塗るが、最後の行程である「洗い」を終えるまでは、どんな風合い、色合いになるかがわからない。手の温度によっても微妙に違った色になる。
 千葉市在住の庄司洋子さんの作品は着物に大きなボタンの花と鳳凰をあしらった華やかなもの。「鳳凰の色を決めるのが難しかった。苦心して、いい色が出せると本当に嬉しいです」と語った。紅型で花や蝶を、背景を柿渋で染めたタペストリーを出展していた立野美恵子さんは「染色していると夢中になれる」と楽しそうに話した。
 紅型に限らず、染色の魅力は「十人十色のものが出来上がること」と成登さん。来場者は「大変な作業よね。こんな綺麗な作品を生み出せるなんて凄い」と感心した様子だった。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】各賞受賞作品の監督。前列左から2番目は映画祭実行委員長、後列左端は審査員のミヤザキさん。グランプリ受賞の全監督は前列左から3番目。 …
  2.  若い人がイチバン集まりたくなる街イチハラヘ! 未来に向けて動き出す「イチハラ」が、新しい「しあわせ」を発信する2024年の3日間、その各講…
  3.  キセキレイは、よく街中で見かけるハクセキレイの仲間ですが、個体数が少なくなっていることや、渓流や川原などの水辺を好んで生息しているため、ハ…
  4. 【写真】神明さん(左)と宗形さん  丸みのある可愛いフォルムから奏でられる心地よい音。それこそ、オカリナの最大の特徴である…
  5.  今年の夏休みのこと。学童保育のイベントで夏祭りを企画し、子どもたちは、紙で作ったお金で出店屋さんで買い物をしました。一人5百円をどう使うか…
  6.  9月の終わり頃にチャドクガの幼虫(毛虫)の毛に触れてしまったようです。チャドクガは蛾の一種で毛先に強力な毒を含んでおり、お茶の木、サザンカ…
  7.  私の生まれ育った芦別は北海道のほぼ中央に位置し、四季折々の美しい自然と星空に恵まれた町です。  昭和59年に「星の降る里」を宣言し、昭和…
  8.  きつね色にこんがり揚がった生地と香り高いカレーの取り合わせが人気のカレーパン。市原市五井西の『クロワッサンファクトリー五井店』の『じっくり…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】各賞受賞作品の監督。前列左から2番目は映画祭実行委員長、後列左端は審査員のミヤザキさん。グランプリ受賞の全監督は前列左から3番目。 …

スタッフブログ

ページ上部へ戻る