テリハノイバラ 力強い美しさ

 風薫る清々しい初夏、庭先には色とりどりの美しいバラの花が咲き飾ります。庭先の美しい栽培品種バラには劣りますが、野原や野山などでは、ひっそりと素朴に咲く野生種のバラを見ることができます。
 日本に自生する野生種のバラは約10数種類あると言われており、そのうち市原市に自生しているものとして文献で確認されているのは、アズマイバラ、ノイバラ、テリハノイバラの3種類です。今回、ご紹介するのはテリハノイバラです。
 テリハノイバラは、本州から九州に分布するバラ科バラ属のつる性の低木。浜辺、河川敷、野原など日当たりが良い場所に生育します。茎にはトゲがあり直立せず、地を這うように伸びます。花期は6?7月、芳香のある5枚の花弁をつけ、葉は縁が細かい鋸歯状で、葉の表面はロウを塗ったように光沢があり、それがテリハ(照葉)の名前が付いた由来と言われています。花後には赤い球形の実をつけます。
 テリハノイバラをはじめて見たのは約10年前、養老川河口の河川敷にある低い木立の南側の日当りの良いところでした。香水のような匂いに何かと思い周囲を見回したところ、一輪の白い花から発せられていることに気がつきました。
 はじめはノイバラかと思いましたが調べたところテリハノイバラと分かりました。その時確認できたのは数株、川の増水時には水に浸る場所のため、地形の変化などわずかな生育環境の変化により絶滅するかもしれないと思いました。先日、観察に行ったところ、同じ場所に数株あるのが確認でき安堵したとともに野生種の力強い美しさを感じました。

(ナチュラリストネット/時田良洋)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る