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警察官直伝 護身術
- 2015/8/28
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普段通りの生活をしていても思いがけない危険に巻き込まれることがある。今年5月までの市原市の犯罪発生件数は1042件。昨年同時期に比べ減少しているが「自分は絶対に大丈夫だと思わないでほしい。常に用心を怠らず、慎重に行動して」と話したのは千葉県市原警察署術科教師の土橋通雄さん(59)。6月29日、千種コミュニティセンター主催事業『護身術を学ぶ』で講師を務めた。サポートをしたのは毎週水曜日に同センターにて移動交番を開設する警察官である。
参加者の男女20人は準備体操を終えたあと、すぐに二人一組になって犯人役と逃げる役になって実技を行った。犯人役と対面し、片手で手首を取られたときはひじを軽く曲げ、相手の親指と他の指の間から一気に抜く。自分の両手を握り、上に返すように外すのも効果的。少し相手に近づき、ひじを曲げると力がはいりやすい。上腕をつかまれたときは水泳のクロールをする要領で腕全体を外側上方から相手の手を払い落とす。
後ろから腕を首に回されたら、両手でつかみあごを引いて首に直接手がかからないようにし、腰を落とし犯人側に体を向けて抜ける。壁に押し付けられ首を絞められそうになったときは利き手を真上にあげ腕全体で相手の手を払うようにする。または両手で相手の親指だけつかみ外側に開くなど。いずれも手や腕だけではなく下半身も使い、全身で行う。コツを知っていれば弱い力でも逃れられるそうだ。
警察官の奥田さんと山谷さんに手助けされ、参加者はゆっくりと技をかけあい、「あら、抜けた」、「意外と力が要らない」と言いながら楽しそうに動きを繰り返す。壁に押し付けられる場面では「壁ドンだな」と冗談をいう余裕のある男性もいたが、なかにはリアルな状況を想像し、「相手に一歩近づくのは恐怖感がある」、「首を絞められる形になるのが怖く試せない」という女性もいた。
本当に危険に直面したとき実践するのは習熟していないと難しい。「とにかく一瞬のスキを作って全速力で逃げることが大事」。指で相手の喉を突く、手のひらの固いところで鼻を突くなど急所を狙う方法もある。「バッグ、傘や靴などでも防御できる。ただし、持ち物に気を取られると逃げ遅れる。ハイヒールは脱いで走って」とのこと。さらに大声を出して助けを求める練習もした。「わー」、「助けて」など参加者たちが思い思いに発声すると、土橋さんは「まだまだ」とお腹の底から声を出すように促した。その音量は同センターの事務室から不審者が出たのかと問い合わせが来るほどだった。
「警察は手助けできるが、身代わりはできない。すべての災難から身を守るのは自分。今日学んだことを実践して」と土橋さん。「護身術の狭い意味は暴漢から逃れる術。広い意味はあらゆる交通事故、犯罪、災害などから身を守ること。最近増えている特殊詐欺、いわゆるオレオレ詐欺にも気を付けて。移動交番も活用してほしい」と付け加えた。ちなみに福岡市のウェブサイトにある護身術マニュアルが参考になる。