湧きあがる使命感を胸に、アフリカの地へ飛ぶ

映像クリエーター 本間裕人さん

 市原市在住の映像クリエーターである本間裕人さん(35)が、今年撮影を始めるのはブルキナファソと日本を繋ぐ『柔道』のドキュメンタリー映画である。ブルキナファソは、西アフリカにある共和制国家の名前。初めて聞いたという人が、ほとんどなのではないだろうか。
 本間さんとブルキナファソの出会いは、数年前に遡る。早稲田大学在学中に、自主製作の映画を撮影するなどして、映像に興味のあった本間さん。卒業後は、色んな方面への視野を広めたいとの想いから『潜水士』や『塗装工』、『日本語教師』など様々な職業を体験した。26歳の時、浜崎あゆみ他有名アーティストのミュージックビデオを手掛ける制作会社に入社し、さらに映像の技術を学んだ。「その後、父親とオーストラリアやニュージーランド、東南アジア全般を放浪したんですよ。元々は一人で行く予定だったんですけど、当時すでに定年退職していた父親が一緒に連れて行ってくれって。今は亡くなっているので、いい思い出です」と話す本間さん。多くの土地を回ったものの、南米やアフリカには行っていないことに気づいた。また、旅をしていると『生活者の視点』が欠けてしまうことに物足りなさを感じ、「青年海外協力隊に参加、アフリカのブルキナファソに派遣された」のだとか。現地では、日本で培った経験を生かし、広報局で映像の指導にあたった。そこで見たのは、日本に来たこともないアフリカの人々が、「待て!始め!」など日本語を用いて柔道をしている姿だった。
 柔道は、『礼儀』や『相手を敬うこと』を学べるとあって、早くから海外に慣れ親しまれたスポーツの1つである。特にフランスでは柔道を取り入れる地域や学校が多く、1964年の東京オリンピック開催時にすでに競技種目だったことからも、柔道の世界における競技人口の多さがうかがえる。そして、フランス植民地だった影響で、ブルキナファソでも柔道は盛んに行われるようになった。
 「今回のドキュメンタリー映画を撮影することになったきっかけは、本当に偶然です。知り合いの柔道家の方が、国際交流基金の文化交流事業でブルキナファソを訪れ、現地の軍隊で教える1人の老柔道家に会ったんです。彼、アタナセ氏は国際審判資格も持ち、柔道発展のために生涯をかけている人なんです。その彼に視点を当てて撮影していきます」と話す本間さんの瞳は力強い。健康的に焼けた肌は、アフリカの大地によく似合うだろう。アタナセ氏は来日も予定しているが、まずは本間さんが年内にアフリカへ飛び、現地で撮影を開始する予定。「今のところ協力体制次第ですが、ブルキナファソで子ども達のための柔道大会を開催しようと考えています。その大会で上位の5人を、アタナセ氏と一緒に日本へ招こうかと」、計画もしている。
 千葉テレビやNHK、テレビ東京など大手のテレビ番組の制作も手掛け、「作りたい映画はフィクションなんです」と笑う。彼は今、なぜドキュメンタリーを撮影するのか。ブルキナファソは、現在クーデター後であり国は混乱している。裕福な家庭は少なく、試合に来ても上半身が裸の子どももいる。運動が好きで、見様見真似で取っ組みあえるシンプルさから、柔道は現地でも受け入れられた。
 「この撮影をするのはブルキナファソの彼らにお世話になった恩義があるいう理由がひとつ。あとは、日本の柔道がアフリカにいる彼らの目にどう映るか。そして日本で映像化された時、名前も知らない小さな国でこんなに盛んに柔道が行われているのを、日本人が知ってどう見るか、それが知りたいんです。どれほどの人に興味を持ってもらえるか分からないですけどね」と楽しげに語る彼は、その事実を『伝えたい』のではなく『残したい』のだという。今までテレビでも数本しか扱われたことがない国、ブルキナファソ。言語が通じても、すれ違ってしまうことはとても多い。それなのに、言語を共有できなくても『柔道』を通して世界に繋がることができる。他人とはつい壁を作ってしまいがちだが、人と分かり合うことというのは、案外とてつもなく簡単なことなのかもしれない。

問合せ 一般社団法人 国際文化交流協会 本間さん
TEL 03-6326-7361
E-mail info@icea.or.jp
HP http://icea.or.jp/ 

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