最新トピックスを見に行こう 『飽富神社奉納太刀』

「いち早く皆様に見てもらいたいと公開した」と嬉しそうに話すのは袖ケ浦市郷土博物館館長の山田常雄さん。トピックス展『袖ケ浦の刀剣と火縄銃』が同館で開催されている(11月29日まで)。メインの展示物は10月に袖ケ浦市指定文化財に指定されたばかりの『飽富神社奉納太刀 無銘 附 太刀拵』。
 同神社から寄贈された10年前の姿を知る学芸員の多田信子さんは「赤くさびた、だだの鉄の板のようだった。鞘などの拵も崩れ落ちそうにボロボロ」と振り返る。その後、一部を磨くと直線的な刃文がでてきた。本格的にサビを落とすと、姿を現したのは、長さ72・6センチ、腰元の反りが強く、先端に向けて幅が狭くなる太刀。形状から平安時代末期12世紀の作とわかった。
 山田館長によると「制作当時のまま現存するこの時期の刀は少なく、歴史的価値が高い」そうだ。握り部分にあたる茎は腐食し、制作者などの手がかりとなる銘は不明。「時代から無銘だった可能性もある。大和地方の影響を受けた地方の刀鍛冶の作と考えられる」という。また、拵は南北朝時代から室町時代初期の作と推定され、これも希少で市の文化財に指定された。
 飽富神社は、市原市の姉埼神社や嶋穴神社同様に格式が高い。「平将門の乱の平定を願い、朱雀天皇が勅使を遣わし神社に太刀を奉納したと社伝に書かれていた、という記録がある」と山田館長。となるとかなり由緒正しいのではと期待が高まるが、「将門の乱は10世紀。時代が違う。でも誰かが奉納したのは確か」だそうだ。
 さらに会場では市内に伝わる個人蔵の刀剣や火縄銃なども見ることができる。展示品は地中から出土した古代の『上古刀』、武士が台頭した平安時代末期から室町時代に造られた『古刀』、天下統一を果たした秀吉の時代から江戸時代の泰平の世に造られた『新刀』、幕末期の動乱期から明治時代の廃刀令がでるまでの『新々刀』、国の許可を得た刀工が造る『現代刀』と刀剣の歴史を辿れる。なかには奥州の出羽三山山麓で造られた『月山』銘の入った短刀や人間国宝作の名刀もある。長さを調節したと思われる目釘穴が複数ある古刀や何度も研磨し、刀身が短くなった痕跡のある脇差は何人もの手や時代を経たことを想像させる。
 武器とはいえ、時代とともに変遷する日本の伝統技術の美を体現する文化財。「刀は一振り一振り歴史を背負っているからおもしろい」と刀文や鍛え肌を確かめるように見る男性もいた。併せて今回は久留里藩士伝来の火縄銃や抱え大筒なども展示した。「堺筒の目当て(照準)は独特の富士山型」とのこと。入場無料。開館時間 9~17時。休館日 月曜日・祝日の翌日。

問合せ 袖ケ浦市郷土博物館
TEL 0438・63・0811

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