故郷を永久に残すために、今できることを

毎日農業記録賞 高校生部門優良賞受賞
県立鶴舞桜が丘高校2年 渡邉 恭匡さん

 千葉県立鶴舞桜が丘高校2年の渡邉恭匡さんが、第43回毎日農業記録賞の高校生部門で優良賞を獲得した。毎日農業記録賞とは、毎日新聞主催で食・農・農に関わる環境の3点への関心を高めるとともに、それに携わる人たちや関わっていく未来の人々を応援する賞のこと。都道府県単位での地区審査や毎日新聞4本社ごとのブロック審査、さらに2回にわたって行われる中央審査で選定された上での受賞。
 原稿用紙8枚に及ぶ作品を手に、渡邉さんは照れくさそうにはにかんだ。「大まかに区分すると、自分の育った地域の環境、参加したインターンシップ、この環境をどう守っていくかについて書きました。作文は苦手なので、去年のゴールデンウィークから2カ月くらいかけました」。現在、渡邉さんは同校の緑地管理コースに在籍。2年になる際コースを選択するのだが、野菜、果樹、草花と全4つある中で『野菜』と迷いながらも同コースを選択。
 高滝ダム近隣で生まれ育った渡邉さんは、小さい頃から母親と裏山に竹の子やワラビを取りに行ったり、祖母が畑で作る野菜の手伝いをしていた。その影響があったのだが、「いざ就職を考えた時、緑地管理コースは役立つかなと思ったんです」とより確固たる意見。緑地管理コースでは、刈払い機を使った実習や木の剪定も行う。ゴルフ場の多い市原で、高校在学中に樹木管理の知識が豊富な技術者として力をつけ、地元に就職することを目指す生徒を育てることを目的として2年前に設置された。ゴルフ場だけでなく、サッカー場の芝整備を行っているのも彼らグラウンドキーパーの仕事だ。
「インターンシップでゴルフ場へ行った時、色んな刺激を受けました。一番神経を使う『カップ切』という作業や、初めて見るゴルフ競技、コース管理を行う社員さんの真剣さ。僕も、プロに信頼されるコース管理者になって仕事をするとともに、故郷である養老川を次の世代に向けて守っていきたいと思ったんです」と将来を見据える渡邉さんは、無駄なことは話さない穏やかな印象だが、担任の中田滋己教諭も「責任感は人一倍!」と太鼓判を押すしっかり者。
 所属のサッカー部ではキャプテン、千葉県学校農業クラブ連盟では同校代表として会議にも参加しているほど。「優しくてリーダーシップのある彼が、地元を守らなければと感じるのは性格を考えれば、ごく自然のことだと思います。高校入学から2年経って、木の剪定をしている時も高さを把握できるようになっています。目の前のことだけでなく周囲を見られる。着実に成長しています」と中田教諭は満足そうに続けた。
 とはいえ、初めは2mの高さの木に登ることに対して恐怖感もあった。規定があり2m以上に登ることはないが、木に集中して高さを忘れかけたこともある。しかし、そんなこともなくなった。木の剪定や芝刈りを行うのは、鶴舞桜が丘高校が合併する前の元市原園芸高校。現在はグリーンキャンパスと呼ばれるそこには数多くの庭木があり、一度の授業では剪定が到底終わらない。「草を刈り揃える時、地面ギリギリの長さで刈るには刈払い機を使う時の力加減にコツがあることなど、段々分かってきました。唯一苦手なのは、芋虫やナメクジです」と笑う渡邉さん。
 反対に楽しい授業を問うと、「木を描くこと」と不思議な答え。3年生になると造園計画という授業で図面を作成し始める。図面でみんなが同じ木の絵を描けるように、針葉樹や落葉樹などの『樹木のデッサン』を練習するのだ。そんな渡邉さんが願うのは、「17年間生まれ育った故郷が、これからも変わって欲しくない」ということ。近年、里山の荒廃や河川のゴミ処理などの問題が懸念されている。高齢化が進み、力に限界があるとの声が聞こえてくるのも必然だ。渡邉さんはボランティアで養老川河川敷の草刈り作業に参加することもある。「まずは、その土地にいるひとが地域に定着し、そこで仕事をしながら生活することが大切。ボランティア活動にも、もっと若い人たちが参加すれば力もあるので役立てるのではないかと思います」と、渡邉さんは最後に強く訴えた。

問合せ 県立鶴舞桜が丘高校
TEL 0436・88・3211

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