陶芸を2校の架け橋に

 昨年末、つるまい美術館で『平山窯(へいさんよう)展 平三(へいさん)小学校・鶴舞小学校合同展示「今日から明日へ」』が開かれた。『平山窯』は平三小学校内に10年前に設置されたガス窯。同校は、陶芸家の原地宏幸さんと和光大学講師の木寺啓幸(ひろゆき)さんを講師に招き、陶芸を授業に取り入れている全国でも珍しい学校。児童と保護者、教職員、地域住民も参加する年2回の陶芸教室や毎週日曜日に活動している陶芸サークルも『平山窯』を拠点としており、サークルの会員は両講師とともに製作の手伝いをしている。その成果を発表する場として『平山窯展』が毎年行われてきた。
 平成27年度で閉校となる平三小学校。全児童は7名、そのうち6年生を除く6名が平成28年度から鶴舞小学校に移る。今展示会は陶芸を両小学校の架け橋にしようと企画された。デザインを考え、粘土を形成、絵付けするところまでは各自の学校で、窯出しは昨年12月に鶴舞小の4、5年生33人と平三小の児童7人が交流を兼ねて合同で行った。木寺さんは「小さな規模の母校を離れ、他校に移るのは不安も大きいでしょう。陶芸を通して顔合わせができてよかった」と話す。
 今回、ギャラリーに並んだのは、平三小学校と鶴舞小学校の児童と教職員の作品約150点とサークルメンバーの作品約30点。展示されている児童の作品は子どもらしい愉快なものばかり。初体験だった鶴舞小の児童の作品は動物の顔を模したカップ、水玉模様の皿など器が多かった。一方、毎年陶芸を体験している平三小の児童たちの作品は、水槽に入れる置物から本立て、ペン立て、剣、ままごとに使うのかドーナツやサンドイッチに見える食べ物のオブジェなど実にユニーク。「様々な人が見にくる画廊での展示は、子どもたちにとって励みになります。作っているときの子どもたちは夢中。自由な発想を大切にしたい」と木寺さん。
「陶芸は創造の世界。夢や希望を立体で表せて自分で好きなように絵をつけることができる。これほどいい教材はない。しかも大切に扱えば何十年でももつ。作った当時の思いがこめられる、自分だけの宝物ですよ」と原地さんは陶芸の魅力を熱く語る。
 平三小の閉校に伴い、窯の呼称は『平山窯』から『平蔵(へいぞう)窯』へと変わるが、地域に根ざした陶芸活動の火はこれからも灯し続けていく。小学校での陶芸教室も引き続き鶴舞小にて行われる予定だ。フィナーレではなく明日へつなげる展示会、鶴舞小の児童たちの次なる作品が楽しみだ。

問合せ 『平山窯』古滝さん
TEL 090・8877・5321

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