季節のスケッチ

俳画と文 松下佳紀

近所の家の犬小屋に、いつも乗ってる犬がいる。柵が視界を遮るので見通しのいい屋根に上るのを覚えたのだ。好奇心いっぱいの顔付きで周囲を見回している▼その前を通る度に彼は私を呼ぶ。仔犬の時からの間柄だ。私もその度に駆け寄り、いい子、いい子と撫でる。彼はちぎれんばかりに尾を振り、全身で喜ぶ。ただただ嬉しいのだ▼ほんの数秒の交歓だが別れ際に私はバイバイと言う。すると彼の表情は一瞬曇り、振っていた尾がしゅんと下がる▼このバイバイは私が急いでいる時、また呼ばれても行けない時にも使う。何しろ人様の飼犬だし、度々その庭先に立つのも何だからだ。互いに辛い立場であるが、近頃は彼もバイバイの深い意味を少しは理解してきたようである。

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