過去の遺産ではなく、未来への資産 ~小湊鉄道と里山の共存~

 2月6日(土)、千葉市稲毛区のこみなと稲毛ギャラリーで開催されたトークイベントに出席したのは小湊鉄道株式会社の石川晋平社長と鉄道写真家の中井精也さん。1月中旬から1カ月間展示されていた『SATOYAMAイズム!小湊鉄道のアートな楽しみ方』のメインイベントで、当日会場には予想をはるかに上回る200人以上が訪れた。
 同企画展では同社に保管されていた工具類など約60点を展示。大正時代当時のレトロな列車時刻表には手書きで修正された運賃や路線図がそのまま記録されていたり、陸軍の鉄道連隊が演習も兼ねた鉄道架設の記録映像が流れていたりと、貴重な資料が間近で見られるとあって来場者も興奮しきり。
 ギャラリー担当の阿部由佳里さんは、「一番の見どころは昭和30年頃のパンフレットを高さ2mまで引きのばした『小湊鉄道沿線鳥瞰図』です。鳥の目になって引いて見てみると、現在でも有名な観光スポットが誇張して描かれていて面白いですよ」と話した。
 石川社長は、小湊鉄道株式会社の歴史を振り返るとともに、「会社の発展に欠かせなかったのは金融や保険業を手掛けていた安田善次郎氏の出資だった」と語る。田舎の鉄道で採算が取れないと何度断られても、発起人が掛け合いに行く情熱、そして誕生寺へ参拝に行く人々の足になるための鉄道だという事実に心を動かされての出資によって、小湊鉄道の歴史は動いた。
「今は地元など周囲の共感と共鳴を大事に、懐かしがるだけでなく未来を見て活動しています」と話す石川社長が大きく掲げるのは里山プロジェクト。バイクで線路を走るレールバイクや開放感のある構造で里山を駆け巡るトロッコ列車などは、最近大きな注目を集めている。
 そんな小湊鉄道の魅力を写真に残しているのが中井さんだ。鉄道沿線上に移住も考えたほど小湊を愛して止まない中井さんは、「北海道や海外、どこへ行ってもこんなに昔ながらのいい景色は見られません。車両がいい意味で古く、電柱も周囲に立っていない。乗っているだけでリラックスできる『ゆる鉄』、かなりオススメです!」と自身で撮影した写真を映像で流しながら解説。
 カメラは目の前のものをありのままに写してしまうので、その中でいかに感じてもらうかがポイント。鉄道が大好きなのに、被写体としてぼかしたり、あえて側面を撮影してその力を弱めてみるのも魅力を出す技だとか。「こんな電車に乗って通学してみたかったと思わせてくれますよね。みんながどこかで見たことのある懐かしい風景。里山の力を列車から広めてみてはいかがでしょう」と中井さん。
 春夏秋冬それぞれの味わいを見せてくれる小湊鉄道。今年もまた、新たな楽しみ方を披露してくれることだろう。

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