これからの日本には欠かせない再生可能エネルギーを考える

 千葉県中央部で里山保全や木質バイオマス活用などを行ってきた人々を中心に、『ちば里山・バイオマス協議会』が発足された。4月3日、設立を記念して市原市五井会館で開催された『ちば里山・バイオマスシンポジウム』に集ったのは約160名。同協議会は千葉の里山再生、獣害対策、林業の担い手育成などを目指す地域協働のネットワーク。研究者を含む講演者の他、地域活性化に関心のある人々が参加した。
 講演でトップバッターを切ったのは、千葉大学大学院教授の倉坂秀史さん。枯渇性資源ではない、再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除くものと定義づけられる『バイオマス』について、千葉の現状を交えながら解説。「現在の日本は転機にあります。人口の減少やインフラの老朽化、温暖化と様々な問題と向き合いながら、経済部門を地方からきちんと組み立てる必要があります。安定的な自然からの恵みに注目し、再生可能エネルギーを利用するといいでしょう」と熱弁。そして、「未来を話しあう時にネガティブな想像をすることが多いですが、地元で役割分担を作れば、たとえ人口が減ってもポジティブな対策がうてます」と続けた。
 主な対策として挙げられるのは、獣害対策。里山で問題となっているイノシシについて、千葉県農林総合研究センターの植松清次さんより、「対策は罠による捕獲、除草などの環境整備、柵の設置をする防護の3つがあります」と説明があった。実例として、鋸南町で行われたが失敗してイノシシを防げなかった事も挙げられ、いかに戦いが簡単ではないかが語られる。しかし、頭数は近年増えるばかり。狩猟のできる人を増やすなど対策はあるものの、地域の実情の困難を明かし、技術的部分と精神的部分の支援を訴えた。
 会場の来場者からは、「イノシシは根こそぎ食べてしまうので、良い木はほとんど残りません。他にも、シカが同じ種類の花ばかり食べることで、虫が減り生態系に影響が出ていると思います」というコメントから、「家の近くに江戸時代から存在する道があります。そこが竹やぶのせいで通れなくなってしまっているんです」という相談まで様々なものが聞かれた。
 実際、林業は年間収入の見込みが百万円ほどで、それだけで生活を賄うことは難しい。しかし、里山が荒れては日常生活に影響が出ることさえある。いかに若者を林業に引きつけるかが今後の課題だ。そして、その課題には過剰に保有される空き家や使っていない耐久消費財の活用が鍵になっているという。
 同協議会は、主旨に賛同する会員を募集中。年会費は個人会員で2千円、法人・団体会員で1万円。活動内容については協議会へ問合せを。

問合せ ちば里山・バイオマス協議会事務局 山本さん
TEL 090-2721-8712

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