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「未病治」で健康への手伝いを
- 2016/6/24
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今年2月に開院した『あい国分寺台治療院』。鍼灸師でありマッサージ師である院長の鈴木諭さん(35)は、29歳で病のため失明したのち、この仕事を選んで国家資格を取得した。ひとりで行う治療院の仕事や日常動作に、危なげなところはひとつもない。「埼玉の国立リハビリテーションセンターで、日常生活の訓練を1年間行いました。点字や歩き方、障害者用のパソコンの使い方など、いろいろ学んだんです」
実家の南房総市に戻った4年前、視覚障害者の外出をサポートする同行援護の福祉サービスを受け、『あいサポートサービス株式会社』社長の高澤博行さんと出会う。将来や仕事のことなど、いろいろ相談や話をしていたなかで、鍼灸・マッサージ師の話も出ていたという。「再度リハビリテーションセンターに戻り、鍼灸を学び始めました。けれど、なかなか意欲が湧きませんでした」
その勉学中、鈴木さんはリンパ節炎にかかった。習っていた鍼灸の先生の治療を受けるが、これが転機となる。「半年かけて少しずつ腫れがひき、それっきり何もない。それまで鍼灸の治療を受けたことがなく、半信半疑でしたが、この経験により効果を実感しました」。本気で鍼灸師になろうと取り組み、センターの実習で多くの患者さんに向かい合った。
「鍼灸・マッサージは東洋医学。病気を予防する『未病治』という考え方では、定期的に体を楽にし、疲れなどを溜めないことが大事になります。例えばどこかに痛みがあると無意識にかばって、仕事や家事の能率が落ちてしまう。そこを改善すると、日常的に楽になるんです」。
鈴木さんの以前の仕事は千分の一ミリの精度が求められる金属精密部品の金型製作だった。神経を集中し、指先の感覚で判別するような厳しい職人の世界。疲労が溜まったときの辛さも仕事のパフォーマンス低下の現状もよく分かる。「肩こりの症状が、不眠症など別の病や症状から来ている場合もあります。ご本人が意識していない場合も多く、丁寧に原因を探し、少しでも楽になれるお手伝いができればと思っています」。
高澤さんも「彼は意志が強く、真面目。中途失明という大変な出来事からの立ち直りには時間がかかるはずですが、彼は自分で奮い立って、着実に一生懸命、やってきた。彼との出会いとお誘いがなかったら、鍼灸院の開設はなかったでしょう」と話す。治療院の開院時間は10~12時、14~19時、(日)休。訪問マッサージなどにより不在の場合もある。予約優先。気軽に受けられるクイックマッサージ15分1500円が好評だという。
TEL 0436・37・5960