「私は自称市原のフルーツ PRマン」

~桃ジャムを市原の特産品に~

 市内青葉台在住の松本正治さん(78)は奥様、実恵子さんが作った市原産の果物を使ったジャムを知人や親戚などに送り、喜ばれることに幸せを感じる「自称市原のフルーツPRマン」だ。
 大手電機メーカーに勤務していた正治さんが実恵子さんと埼玉県から市原市に越してきたのは28年前、50歳の時だった。「当時、お世話になった植木職人さんを通じて、妻が生産農家さんと親しくなり、色々な果物や野菜をいただいたりフルーツ通りの直売所で購入しているうちに、市原は色々な果物が作られていることを知り、その美味しさに感動しました」と話す。
 正治さんは60歳で定年退職後、50日間かけて野宿での四国遍路に挑戦した。「遍路でお世話になった方々にお礼をしたいと思ったが、連絡先が分からない人もいる。どんな形で恩返しをと考え、地域に還元すればいいと思いました」という。そして翌年、JA市原市が主催する『梨ボランティア』の二期生として2年間活動後、「美味しい市原の梨を生産する農家さんの手助けがしたかった。他の農産物同様に生産者の高齢化や後継者難で年々梨畑が減っていくのを憂慮して」有志と共に『援農隊』を結成し梨農家の支援を続けた。この活動は『現代農業』に掲載された。更に「地域住民の高齢化が進み、庭の草取りも大変になるだろう」と、青葉台で10年以上前から仲間20数名と始めた庭掃除のボランティアは、NHKのテレビ番組『ご近所の底力』で紹介された。当時から続けている地元でのヤマユリ保全活動。今夏も千本以上の花を咲かせ、近隣住民はその甘く濃厚な香りを満喫したそう。
 そんなアクティブシニアの正治さんがジャム作りに目覚めたのは7年前のこと。たまたま近所の人が収穫したアンズをバケツ一杯持ってきてくれた。これを実恵子さんがジャムにして配ったところ、皆、美味しいと喜んだ。そこで「市原の旬の美味しい果物をジャムにすることで1年中味わえたら」という思いが芽生え、夫婦でジャム作りやジャムに使う果実栽培を始めた。
 「年をとると歯が悪くなるし、おかず作りも面倒になって、つい手軽なパン食が多くなる。パンにはジャムをつけるが、結構ジャム代もかかるし、なかなか好みの甘さのものはない。だから自分でジャムを作れば経済的だし、味や食感も満足できる。生の果物や野菜を加工することで保存もきき無駄にすることなく使い切れるのも嬉しい」と正治さんは笑顔を見せる。
 これまで、イチジク、山桃、イチゴ、梅など様々なジャムを作ってきた。取材時は桃とルバーブのジャムを作っていた。ルバーブは正治さんが菜園で育てたものだが、桃は「市原で桃を作ってる農家は少ない。私はフルーツ通りの梨園山本さんで買っている。栽培されている桃は幾つかの品種があり9月初めまで収穫されるが、私が使っている果肉が赤く美しいジャムができる桃太郎という品種は7月末でおしまい」とのこと。これからの時期は、イチジクとブルーベリーのジャムを作る。正治さんの願いは、「市原の果物の美味しさを地元の人はもちろん、市外の人たちにも広く知ってもらうこと。個人的にジャムを作り人様に差し上げたり、直売所で試食販売させてもらったこともあるが、素人が作るには数に限りがあります。まずは、全国でも珍しい桃のジャムをJAさんなどが作って、地元の道の駅や館山道の市原SAで、市原の特産品として販売したらいいと思います。同時に、老人ホームや学校の給食センターでもジャムを作り、お年寄りや子どもの食事に提供するといいですね。それと、これから11月までは梨のシーズン。幸水、豊水、秋月、新高と収穫され販売されます。是非、地元の皆さん、フルーツ通りの直売所で、市原の新鮮な梨を味わってみてください!」と瞳を輝かせる。

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