マツナ絶滅の憂慮

 空気の冷たさを感じ、周囲が秋の色に染まりはじめる時期、養老川河口の岸辺では、たくさんの星型の実をつけるマツナを見ることができます。
 マツナは、関東以西、四国、九州に分布し、海岸や河川の河口域などの塩分が多く含まれる砂地などに生育する1年草。葉が松の葉にとても似ていることからその名がつけられたそうです。草丈は約40~100センチ、茎からは多くの枝を出し、8~10月頃に淡黄色の小さな花をつけます。若芽時のマツナの葉は、線形で透明感あふれる緑色をしており、どことなく上品で優美な感じがしますが、秋には茎が木質化して堅くなり、荒々しい感じになります。
 マツナの種は、風や水に流されて散布されることから、発芽する場所(生育環境)は、種親の周辺や大潮時の満潮線付近となっています。このような場所は、流木や漂着ゴミが堆積していることが多く、種の上にゴミ等があると発芽しにくいこと、また、大雨による川の増水により定着した種が流されやすいことなどから不安定な生育環境となっています。マツナは、千葉県レッドデータブックでは重要保護生物Bに指定されています。千葉県内におけるマツナの生育地は、東京湾内湾の数箇所に限られ、そのうちの1箇所が養老川の河口域にあります。
 8年前に養老川河口域の生育数を確認した時は、数百本あり、広範囲に生育していました。しかし、とても残念なことに、今や生育箇所は局所的で数本程度となっています。その原因は、自然的要因、人為的要因の両方と思われます。市原市の生育種の絶滅が憂慮される状況です。

(ナチュラリストネット/時田良洋)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  高齢化社会やコロナ禍など、私たちの生活で薬局の果たす役割は日々増している。昨年6月、市原市辰巳台東5丁目にオープンした『みつば薬局 辰巳東…
  2.  10月16日(日)、青葉の森公園芸術文化ホールで、伝統文化への興味関心を喚起し日常の中で身近に触れることを目指し「和紙角あんどんづくり」の…
  3.  市原市平蔵にある『集い広場へいさん』は、児童数の減少で2016年に閉校になった旧平三小学校の施設を利用した交流の場。教室、体育館、グラウン…
  4.  顔から腹、足や目が鮮やかな赤色で、背が茶褐色の可愛らしい全長23㎝程の鳥。生息地は主に水田などの湿地、泥地。長い指で泥に脚をとられず自由に…
  5.  内房線の八幡宿駅西口から歩いて10分程にある飯香岡八幡宮は、白鳳3年(675)天武天皇の勅命により八幡宮として創建されたといわれています。…
  6.  長南町の野見金山に、全長1.4㎞のトレッキングロード『のみがね峻道』が完成した。地元有志が結成した『のみがね会』が、約4年の歳月をかけ整備…
  7.  秋の深まる足音が日々ゆっくりと近づいてきています。朝早くに犬と散歩するようになってからは、何か危険な物は落ちていないか、注意しながら足元に…
  8.  今年で11年目となるマザー牧場(富津市)のイルミネーション『光の花園』が11/3から始まった。標高300mの『山の上エリア』で、約60万球…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  高齢化社会やコロナ禍など、私たちの生活で薬局の果たす役割は日々増している。昨年6月、市原市辰巳台東5丁目にオープンした『みつば薬局 辰巳東…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る