上総国分寺と波の伊八

達人が教える市原の宝

 地域の歴史を学んだり、ボランティアガイドを養成したりする国分寺公民館主催講座『町歩きの達人』(全4回)が開かれた。10月8日の第1回は講義と史跡を歩く『私のまち自慢』。同講座受講者を中心に結成されたサークル『天平の甍』代表の南木徹さん(68)が講師を務め、参加者20人を案内した。
 南木さんは「地方からも多くの見学者が訪れる、上総国分僧寺と国分尼寺こそが他の地方都市にはない貴重な観光資源」と話し、市原市の歴史と公民館周辺の史跡を解説。「企業誘致した高度経済成長期、発掘調査後に住宅地になった場所が多いが、散歩をすると意外な場所に遺跡があります」と参加者の好奇心を掻き立てる。国分寺院は741年、聖武天皇の詔によって天平時代に国の安定と繁栄を祈るため全国60カ所余りに建立された。「なかでも上総国の尼寺は全国1位、僧寺は3位の広さ」など30分ほど講義を受けたあと、国分僧寺跡へ出発した。
 同地は何も知らなければ、南木さんの言うように「ただの野原に見える」。しかし、国指定の史跡。少し盛り上がった場所には市役所より高かったといわれる七重塔の礎石が残る。中心の柱を受け止めたという直径1.8メートルほどの石には柱を固定する突起、周囲には四方の柱を支えたと思われる石も残る。
 国分寺の中心となる建築物があった場所には、現在、医王山清浄院国分寺がある。現薬師堂は江戸時代中期に再建されたもの。「几帳面は柱の丁寧な面取りが語源」などの雑学も入れながら、「屋根は茅葺の入母屋造り」、「これが蟇股」と建築様式について南木さんが語ると参加者たちは熱心に聞き入っていた。正月三が日には内部が公開され、薬師像、天井画の昇り龍や楽器を奏でる飛天など拝観できるそうだ。
 本堂へ移り、特別に見学したのは江戸時代の名工3代目波の伊八の銘のある欄間。2代目が急逝したため3代目が引き継いだという作で、親孝行の物語、中国の二十四孝が彫られている。母親を飢えさせないために夫婦が自分たちの子を埋めようと地面を掘ると黄金の釜が出てきたという話と、貧しくて蚊帳を買えないため子が裸になり蚊に刺され母親を守ったという話。参加者たちは、懐中電灯の明かりを頼りにじっくり眺め、裏側の波、龍、寅などが描かれた下絵を「反対側とは全く別の絵柄」と感心していた。完成していれば、見事な透かし彫りの欄間となったと思われる。
 最後に仁王門の市指定文化財木造金剛力士像、戦時中に防空壕の落盤で亡くなった子ども数人を祀ったお地蔵様、再建された西門跡の基壇などの説明を受け解散した。参加した女性は「身近にこのような文化財があると知らなかった」と次回を楽しみにしていた。第2回以降は写真家の石川松五郎さんの講演、大多喜城下バス研修などが行われた。

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