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里山保全と自然観察を 休耕田をビオトープ『トンボ池』に
- 2017/2/16
- 市原版, シティライフ掲載記事
『市原トンボ池の会』
昨年末、戸田コミュニティセンターで巣箱作りの講座が開かれた。講師は『市原トンボ池の会』有志の皆さん。参加者は小学生の男子1名、女子4名、男性1名、保護者3名の9名。「最初に鳥の勉強を」と、同会のメンバーが野鳥のスライドを上映しながら分かりやすい解説を。そして巣箱の穴の直径を2.5㎝にする理由を「可愛いシジュウカラに入ってもらうため。これ以上大きくするとスズメやムクドリなどの大きな鳥やスズメバチまでも入ってしまうから」と説明し、参加者の皆さん、納得の表情。
その後、設計図の書かれた用紙が配られ、巣箱作り開始。用意された杉の板にノコギリをあて奮闘する。メンバーからマンツーマン状態の指導を受け、2時間足らずで完成。参加者は「うまく作れて嬉しい。シジュウカラに入ってもらいたい」、「観察が楽しみ」と満足げな様子だった。
市内の公民館やコミュニティセンターで毎年12月に行われる『市原トンボ池の会』による巣箱作りの講座は今回で10回目。野鳥が卵を産むのは3月から5月にかけてで、1月から2月にかけて親鳥が巣を作る場所を探しに来るので、これに間に合うよう12月中に巣箱を作っている。
同会が巣箱作りの講座を開催する目的は、森や里山に出かけなくても、自宅の庭など身近な環境で野鳥を観察できることを体験してもらうため。会の活動拠点は、その名の通り市原市宿に作られたビオトープ、『トンボ池』。場所は牛久の米沢の交差点を国道409号で茂原方面へ。内田小学校を過ぎ、右にレストランフェリシア(相模屋商店)が見えたら向かい側の道を左折。左に長栄寺を見て道なりに進み、左右に分かれた道を右へ行くと間もなく到着。
「開発や不法投棄、残土処理などで失われていく里山の自然を、自分たちのできる範囲で楽しみながら守っていこう」と集まった『市原トンボ池を作る会』の皆さんが、休耕田を提供してくれる地主さんと出会い、「里山保全のシンボル」としてのトンボ池作りに着手した。そして30年ほど放置された休耕田は、1997年にトンボ池として生まれ変わった。トンボ池をフィールドに野鳥や昆虫、植物などの里山の生態系を幅広く考え、自然に対する理解を広げていこうと活動をスタートした。会の名称を『市原トンボ池の会』に改称。翌年、トンボ池は野生動物保護地区に指定された。
会の立ち上げ当時から続いている活動のメインは約2千㎡のトンボ池とその周辺の整備。毎月第4日曜の9時30分から14時まで散策路の草刈りや池の水漏れ対策として土手崩れしないよう土盛りしたり、冬には池を深くするため土砂をシャベルで掘る浚渫作業も。更に、地主さんの理解を得て、池の裏手にある荒廃した杉林の下草刈りや片付けた倒木をトンボ池の木道に活用するなどしてきた。他、市原市エコフェアでの出展や公民館主催事業の自然観察会で講師を務めたりもした。
代表の飯山雅英さんは、「私たちの活動は堅苦しいものでなく、まずは自分たちが楽しむことが一番という、ゆる〜い仲間たちの集まりです(笑)。荒れ放題だった休耕田を泥にまみれて草を刈ったり、スコップで掘ったりしながらも、自然観察をしたり、バーベキューを楽しんだりとマイペースで活動を続けてきました。今後の課題は、どこの里山保全の会も同じだと思いますが、仲間を増やすこと。当初は30代から70代までの20数名いた会員も、今は50代から80代の10数名となり、いつも活動に参加するのは10名ほどなので。事前に電話をいただければ、活動日に現地の案内をしますよ。3月頃だと、トウキョウサンショウウオの孵ったものが見られると思います」と話す。
トンボ池及びその周辺で見られる動植物は、オオイトトンボ、オオタカやサシバ、ニホンアカガエル、ギンラン、ツリフネソウ等々。かつて見られた30種類ものトンボは、ザリガニがトンボのヤゴを食べるなどして20種類位に減ってしまい、サワガニやイモリも見られることは稀になったという。しかし、20年近くかけて守り続けてきたトンボ池には、まだまだ豊かな自然が息づいている。
池近くの木によじ登り、巣箱を取り付け、少年のような笑顔を見せるメンバー。これからも皆さん、のんびりと楽しく活動を続けていくことだろう。同会主催の『春を探そう!早春の自然観察会』が3月5日(日)10〜14時、いちはらクオードの森(市原市柿木台1011)で開催される。当日は昼食持参。駐車場集合。参加希望の方は飯山さんまで連絡を。
問合せ 飯山雅英さん
TEL 0436・52・4468