すべての経験が、きっと未来の私の糧になる

高校生シンガー 鈴木 瑛美子さん

 『存在感のある声』。耳に入ると、誰もがつい振り返ってしまうような歌声を持つ少女がいることを知っているだろうか。県立袖ケ浦高校3年の鈴木瑛美子さん(17)。2015年に日本最大規模の全国ゴスペルコンテスト『ゴスペル甲子園』のボーカル部門で最優秀賞を受賞し、昨年テレビ朝日の『関ジャニ∞のTheモーツアルト音楽王NO.1決定戦』に出演したことを機に、最近では歌のうますぎる女子高生として全国で注目を集めている。
 「私が歌うようになったきっかけは、まさにこの鈴木家に生まれたからです。初めてステージに立ったのは4歳の時。でも、1歳の時には話すことと同じように歌っていたようです」と瑛美子さんは屈託なく笑う。ゴスペルディレクターとしてコンサート活動をしていた父、智孝さんの影響で、幼少より『音』は身近な存在だった。
 4歳から中1までピアノやエレクトーンを習い、絶対音感を備えていた彼女の耳は『音』の再現に驚くほど忠実で、その力は音楽だけに留まらない。2012年千葉県中学校英語スピーチコンテストでは暗証の部で優勝、翌年には第65回英語弁論大会では千葉県代表に選出されている。「英語は今も習いに行くほど好きです。学校の先生の発音がとても上手だったので、丁寧に教えてもらったおかげだと思います」と謙虚。
 だが、彼女の英語の発音がネイティブと感じるほど滑らかなのは、彼女の『耳』で聴く力が優れていることも大きな理由だ。「子どもの時から、CMの曲を覚えるのがなにより早かった。いつも歌で私達を楽しませてくれます。生のステージで歌うことがほとんどなので、度胸も人一倍ついていると思います」と母、恵子さんは話す。
 両親と姉の4人でコーラスグループを組んでいたが、特に歌を習ったという経験はない瑛美子さん。彼女が自然と音楽に溢れた環境で身に付けた技であると共に、ミュージカルの脚本や演出、出演もする父の背中を見続けていたことも上達への大きな影響だっただろう。「歌は特別なものではありません。野球好きな人が何気なくキャッチボールをするのと同じです。アドバイスはするけれど、彼女は自分で歌に入り込むスイッチを持っている。自由に歌ってほしい」と、智孝さんは望む。
 それに答えるように、瑛美子さんは4月9日(日)に都内で開催されたイベントにゲスト出演し、大ホールに臆することなく高らかに、そして豊かな声量で客席を圧巻した。「とっても気持ちがいい!声を抑える方が難しい」と無邪気に笑う彼女だが、今まで悔しい想いをしたこともある。「小2の時、ステージ前に練習しないでずっとお人形遊びをしていたんです。伴奏の音色が変更になったことを聞いたけれど大丈夫かなって。それで最初の音をはずして真っ青になりました。終わってから大号泣です」と振り返る。
 その経験が基になり、ステージ前にほど良く緊張するのは気を引き締めるためにも大切なことだと学んだ。今年初めに放映された『湖池屋』の菓子CMでは見事な歌声を披露した。音程や声量、軽快なテンポや迫力など見ている者を引きこむ力を持つのは明らかだ。
 彼女の魅力は歌っている時いかに真剣な表情、かつ幸せそうに見えることだ。「どういうことを言いたいのか、歌詞の意味が分からなければきちんと確認します。伝わらなければ歌自体に意味も重みもないんです。そんな風に力を込めて歌うので、私は一曲入魂です」と強い意志を持つ。聴く者の心を揺さぶる力は、彼女の想いが届いている結果なのだ。
 将来は表現者として演技や歌の道に進みたいと思っているが、まだデビューはしていない。「20歳までは普通の人生を歩んで欲しい」という両親の意向であり、高校生になるまでは学校を一度も休んだことがないとか。「悲しい経験をしても歌にすれば、そんな過去も良かったと思えるんです。今は色んな大人の方と出会う機会も増えて、学ぶことが多いです」と真摯に語る瑛美子さんの目標は、「2020年の東京オリンピックの時、歌で何らかの関わりを持てること!」だと続ける。一歩ずつ、しっかりと足元を固めている彼女の目の輝きは、これから続いていくだろう大きな世界を確実に見据えているようだった。

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