自然と身体が動くような音楽を届けたい

アフリカ太鼓 アイリカン

 サンプラザ市原で練習を重ねているのは、今年結成6年を迎えたアフリカ太鼓奏者バンド『アイリカン』。リーダーの小田切英樹さん、佐藤朝子さん、土屋聡さん、石川友美さん、植村啓佑さん、吉原洋平太さん、平川詩子さん、添田明子さんの、30から60代までと幅広い世代のメンバー全8名。
 西アフリカのギニアやセネガル、コートジボワールなどに伝わる伝統楽器のアフリカ太鼓にはジェンベとドゥンドゥンの2種類ある。「ドゥンドゥンにはさらにサンバン、ケンケニと大きさによってまた種類が分かれます。高さとリズムの異なる数種類の音が1つになり、初めてまとまった音楽になるのが特徴です」と話す小田切さん。
 お祭りや儀式で演奏される曲には結婚や豊作祈願、子どもの祝いなどいくつものバリエーションがある。リズムすべてに意味を持ち、同じ曲であっても地域が異なると方言のようにニュアンスが変わるのだとか。「約500以上のリズムがあると言われていますが、現地では子どもたちが小さい頃から聞いて耳で覚えます」と続ける。
 アイリカンのメンバーも曲を機械で録音し、繰り返し練習することでほとんど楽譜を用いずに覚えてきた。「私は自宅でピアノの講師をしているので楽譜を見るのが基本の感覚でした。初めは音を聴いて、自分で楽譜に書きだしたりしていたんですが、今では耳コピにも慣れました」と佐藤さんは笑う。
 そんなメンバーが出会ったのは7年前、都内のアフリカ料理店でのこと。市原市内在住の佐藤さんや土屋さんを除くと県外在住者もいるアイリカン。店で行われたワークショップでは、ジェンベやドゥンドゥンを教えてもらうことができた。「1年くらい練習を一緒にすることで仲良くなり、結成に至りました。年齢も職業も異なるメンバーがここまで続けてこられたのはみんなのキャラが濃く、仲がいいのが秘訣ですね」と小田切さんは話す。
 腹の底に響くような低音に、軽快な金属音が混じる。激しさを増すリズムに、メンバーの掛け声が重なる。山羊や牛の皮を使用して作られたアフリカ太鼓は柔らかい素材だが、手で音を鳴らすのは容易ではない。力はいらない。だが、手の形や叩く位置で音は微妙にも変化するほど繊細だ。「太鼓を叩く音でメンバーの体調まで分かることがあります。調子が良かったり、悪かったり。練習をたくさんしたりすると、血尿が出ることもあります。太鼓を始めた頃と比べて、大分手が厚くなりましたね」と笑う土屋さん。石川さんも、「腕を使って動くせいか、胸筋が鍛えられました。太鼓を叩くことは体力がいるので、健康に良いかもしれませんね」と返す。
 今まで県内では市原やいすみ、銚子や館山でのイベント・ライブ会場で演奏をしてきた。他、山梨・埼玉・神奈川・都内など幅広く活動しているが、そのほとんどは人との繋がりで実現したものばかり。年数を経るごとに演奏できる曲数も増加しているが、全員で音を合わせるのは1人で太鼓を叩くのとは違い、やはり難しいとか。
 小田切さんはアフリカ太鼓を国内のプロの奏者に習うだけでなく、3年前にはギニアを訪れ3カ月半かけて本場の音を学んできた。「乾燥しているので音が物凄く良かったです。マラリアにかかって大変でしたけどいい思い出です」と話すと、メンバーが笑い声を上げる。「太鼓をやるなら上手くなることだけを目指すのではなく、とことん楽しく」がモットーだと口々にいう彼らは、練習も小田切さんのリードのもと進むが、みんなで意見を言い合うことも多い。「細かいニュアンスだと伝えにくいし、人によってはそのリズムがとても難しかったりするんです」という小田切さん。だが、「最初は上手く出来なくても、繰り返し練習することで必ず楽しくなります」、「教え方はとても分かりやすいです」とメンバーはお互いを認め合う。
 今後はライブ活動を続けながら、アフリカ太鼓の存在をもっと知ってもらうことが目標だ。「1、2時間練習すれば簡単な曲は一緒に演奏できるようになります。太鼓でなくても、気軽に音楽が出来ることを伝えたいですし、演奏を聴いてくれた人にはハッピーになって欲しいです」と小田切さんは最後に語った。

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