異なる花色 ゲンノショウコ

 足もとを見ながら歩かないと花を踏みつぶしそうな草原で秋の野草を探し、白地に青紫の脈が入ったゲンノショウコ(現の証拠)の花が目に入った。
 フウロソウ科フウロソウ属の多年草で高さ30~60センチ。茎の上部、葉柄、花柄、萼に腺毛が混じる。葉は対生、五角状円形、切れ込みの裂片は丸みがあり、花の出る葉は有柄。花の大きさは10~15ミリ、色は白、淡紅、紅紫など多様、長い柄の先に2個つく。同じフウロソウ属タチフウロ(立ち風露)の葉形は丸く、切れ込みの裂片は尖って細長く、花の出る葉は無柄、花色は淡紅紫。長さ10~15ミリの蒴果が開裂した形が神輿の屋根に似ているから別名ミコシグサ。早い所では夏から咲き始める。
 かつては山野、道端とどこでも普通に見られ、下痢止めの民間薬として有名。飲むとすぐに薬効が現れることから「現の証拠」。ところが、葉は有毒植物のキンポウゲ属やトリカブト属に似て「安易な採取は禁物」という代物。毒に侵され苦しんだ後で間違えに気づくところは、野生のきのこ料理と同じ。安易な採取の要因は、民間薬の多くが地上部の茎・葉・花から作られるから。漢方の生薬は多くが根茎から作られる。
 ゲンノショウコの花色には変異があり、東日本には白色の花、西日本には紅紫色が多いと図鑑にある。両方見られるが片方が多いということか、これまでに紅紫地に赤色の脈と白地に紅色の脈の花を見たことがある。多年草なので毎年同じ場所に咲き続ける。古い家の庭や畑の片隅に見つかれば、遠い昔に薬として使われた名残かもしれない。
 市原の自然は豊かで美しい、いつまでも大切に残していきたい。
(ナチュラリストネット/野坂伸一郎)

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