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いすみ地域で広がるマーケット文化に注目!
- 2017/9/29
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今年1月に刊行された磯木淳寛さんの著書『「小商い」で自由にくらす~房総いすみのDIYな働き方~』。2013年に都内よりいすみ市へ移住した磯木さんが、いすみ市と近隣地域の『小商い』で暮らす19人に取材し、彼らの生活や考え方などの深い部分まで切り込んだ一冊。『小商い』とは、自作の商品を主にマーケット等に出店して販売する商い方法。「都内にいた頃、野菜の流通会社でライターをしていました。全国に農家の取材に行き色んな話を聞きましたが、都内に住みながらでは第一産業を理解しきれないと実感しました」と話す磯木さん。農業漁業の盛んないすみ市に興味を持ち、フリーライターとして独立。妻の知子さんと共に移住を決意した。
そして、「都内の感覚だと小商いは趣味でやっているものだろうと思いますが、ここでは多くの方が実店舗を持っていないながら、他に仕事もしていない。初めは、それで経済的に生活が成り立つのかと、とても驚きました」と言うが、取材をしていくうちに、「その問の答えは、暮らせる、です。本当にシンプルなこと。彼らは小商いをやりたいと思って仕事を始めている訳ではないんです」と気づいた。いすみ地域では2007年頃からマーケット活動がスタート。今では週末ごとに各地で自分好みのマーケットを開催する文化が根付いた。都内や神奈川から訪れていた客層も、次第に千葉県内や房総半島内の地元在住の人々へと変化していった。
「他で仕入れた商品を売るのではなく、自分で作ったものを手渡しで直接売り、地域を豊かにしている。それがいすみ地域の小商いの特徴であり面白さでもあります」と、磯木さんは一つずつ確かな言葉を紡ぐ。自転車屋台のコーヒー店や靴職人、チーズ作りなど小商いの内容は多種多様。「地方の田舎だといって、目的はのんびりではないんです。みんなが自分の好きな仕事にがむしゃらに向き合う姿勢が気持ち良いです。もし、のんびりが先行しての小商いであったとしたら、きっと続かないかも」と、分析する。
本の出版にあたり嬉しかったのは、関西や東北の読者が掲載されている店やマーケットにはるばる足を運んできたと聞かされたこと。また、普段のライターの仕事ではなかなか得られない記事へのフィードバック。著書は、自らマーケットでも販売したことで、反応や感想を得ることもできた。「初期投資額や日常の生活費について金額をリアルに書いているのも参考になると評価してもらえました。十年後くらいに続編が書けたら面白いですね」と、最後に磯木さんは笑顔を見せた。『「小商い」で自由にくらす~房総いすみのDIYな働き方~(イカロス出版)』は税抜き1400円。書店の他、アマゾンなどのネット書店で購入可能。