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店は人生そのもの 継続と発展の想いを胸に秘めて
- 2018/9/7
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ラーメン店『ちば宝来』 天間貴弘さん
市原市青葉台にあるラーメン店『ちば宝来』。第6回千葉県ラーメン選手権でグランプリを獲得したほど味に定評のある同店で、店主2代目の天間貴弘さん(31)は毎日腕を奮っている。「オススメは大トロラーメン。それに辛さをレベルで選べるジャンガララーメン。父が生み出したこのメニューは定番で、季節を問わずに注文があります」と話す天間さん。
壁には、いのしし餃子やキーマカレ―牛タン餃子、シソ餃子など一風変わっているが目を引くメニューがずらり。女性限定で販売している『日本一スモールサイズの水餃子(5個30円)』も見てみたくなる。「小指の第一関節ほどしかない水餃子は、具を入れて作るのがとても大変です。でもお客さんに出した時に驚いてくれたり、写メを撮ってくれたりする姿を見ると嬉しいですね」と、少し照れくさそうに笑う。
天間さんは小学校に上がると、店の洗い物を手伝うようになった。常連のお客も多く、物心がつくころには周囲から二代目!と呼ばれるようになっていたとか。「それを嫌だなと思った時期も正直ありました。でも地元の高校を卒業して、なんの疑問もなく店で働き始めた自分がいたんです」と続ける天間さんは、決して口数の多い方ではないのかもしれない。
だが、「高台にあるので、冬の空気が澄んだ時期には店の前から富士山が見える時があって、それをお客さんに褒められたらちょっと嬉しくて。自分に関係ないんだけどね」と笑う姿からも、店だけでなくそこから見える風景への愛着が窺えた。地元を離れた友人は多いが、帰ってきた時に店に立ち寄ってくれるのもやりがいの一つ。朝起きてから、午前11時頃まで仕込みをして、途中に昼食をとる時間以外は休憩もなく午後8時過ぎまで店に立つ。
調理場を手際よく動く手元から、魔法のように生み出される料理。そして、「以前参加した国府まつりやラーメン選手権などのイベントは普段と違う雰囲気を味わえるのでとても楽しくて好きです」と語ると彼は、今の自身を「昔に比べてすごく丸くなった」と評す。
こだわりを守る
天間さんは高校時代まで野球部に所属。かつて鍛えた体力と忍耐力が、今の仕事に生かされているのかもしれない。「5年くらい前までメンマは自家製でした。大量のタケノコを仕入れて、一年分のメンマを仕込むんです。普段の仕事をしながら、皮をむいて細かく切ってと続けるのは体力的に一番きつかったです。でも、食感も良くて物凄くうまいんです」と思い出す。
同店では、他にも麺には北海道プレミアム地粉『ゆめ飛龍』を麺に使用、チャーシューにはトントロやバラ、肩ロースの3種を調理、NASAが使用する究極の軟水を取り入れるなど、すべてにこだわりを持っている。当たり前のように食べてきた店の味を、改めて意識したことはない。だが、「自分はこの味しかしらない。でも、常連さんが食べてくれると、僕の料理も父の味にそっくりだと言われる」ほど、身体に染みついているようだ。
実際、天間さんは現在も両親と一緒に調理場に立っている。時々、口げんかに発展することもあるというが、「親子だから腹がたつ。他の人に言われたら大して気にならないと思うんです。でも、父は自分の知らない知識をたくさん持っているので、一緒に働いているうちに吸収したい」と一目置く。
そんな天間さんにとって生まれ育った店『宝来』はどんな存在なのだろうか。「昔は、ちょっと離れた高校や会社に通う電車通勤に憧れた時もあったけど」と笑いながらも、「地元を離れた友達にとっては、故郷。自分にとっては人生そのもの」と言い切る強さ。確かに、他の店や業界と比べるモノサシはない。だが、それを「良かった」と言う天間さんには、1つのことを貫く神髄がみえた。
二代目として、今ある味を守りながら、美味しいものをとにかく提供していきたいと意気込む。そして、「新しいメニューも考えていきたいですね。それに、以前から考えているんですが2号店も出せたらと計画中です。自分なりに挑戦していけたら」と、抱負を語った。
問合せ ラーメンちば宝来
TEL 0436・61・3189