喜びも悔しさも味わった3年間の陸上生活

ハンマー投げ選手 平野 迅人 君

 市原市柿の木台在住で県立鶴舞桜が丘高等学校3年の平野迅人君(18)が8月上旬、高校生活中に全力で取り組んだハンマー投げでインターハイに出場した。練習量を物語るように浅黒く日焼けした肌に筋肉質の手足。加えて、「野菜もバランス良く摂るようにしているけど、お肉が大好き!」という通り、90㎏を超える体格の良さはハンマー投げで成長するために鍛え上げられた賜物だ。
 「ハンマー投げはピアノ線についた6㎏の重りを、身体を軸にして回しながら投げる競技です。中学校ではバレーボール部だったんですが、大会があると陸上部の砲丸投げ種目に手伝いで出場したりしていたので、肩の力を必要とする競技に強いのかな」と話す、平野君。ハンマー投げという競技に興味があったのはもちろんだが、彼が陸上部への入部を希望した理由は部内の雰囲気が良かったこともある。学校にいる時は友達と休み時間に話している時が一番楽しいという性格が、部活選びでも仲間の存在を重要視した。
 「桜が丘高校には久しく陸上部が存在していませんでした。私が4年前に赴任した時、陸上を希望する生徒がいて1年間同好会を作り、陸上部になりました。彼より先にいた6人の先輩は後輩の面倒見も良かったですね」と話すのは、顧問の市東卓政教諭。ハンマー投げは球を投げるための背筋力を含むパワーだけでなく、投げる時のバランスも重要な競技で、少しの崩れが飛距離に大きく影響する。足さばきなどの型を習得するまでに2、3カ月かかることがほとんどで、経験者はもとより指導者自体少ないのが現状だ。
 平野君にとっての幸運は、偶然にも市東教諭がハンマー投げの元選手かつインターハイ出場経験があることも大きかっただろう。1年生の時、すでに県の新人戦で6位に入り、2年生になると3位に浮上、関東大会に出場後、インターハイに挑戦した。今回は二度目のインターハイ出場ということもあり、「緊張はしたけれど、遠征に慣れてきていたことは良かったです。大会で自己ベストを上回る結果が出せなかったことは悔しいですが、自分を成長させてくれたハンマー投げをやり続けていて良かったと思いました」と、笑顔を見せる。 平野君にハンマー投げの素質があったことは間違いない。それは市東教諭が、「入部してすぐにハンマー投げに近い動きで球を投げさせた時、筋の良さは明らかでした。結果、成長のスピードも今まで指導してきた生徒の中でも特に早かったですね」と言うほど。平日は校庭で2時間ほどの練習だが、土日はハンマー投げの設備が整った茂原高校や成東高校に通った。「そこには何校もの選手が練習に集ってくるので、いい交流の場でした。初めは人見知りの性格で球を投げる時の声も小さかったんですが、今では積極的に誰かに話しかけにいけるようになった」というなど、競技以外にもいい影響をもたらしてくれた。

教諭との二人三脚

 そんな順風満帆に見える平野君だが、2年生の秋に開催された新人戦以降、長くスランプの期間があったとか。「彼の記録を伸ばそうと、知り合いに動きを聞いたりして私も勉強しました。彼の動きと、新しい動きをミックスすればさらに記録が伸びると考えた」という市東教諭の指導を意識的にどんどん取り入れようとすることで、一時的にバランスを崩したのだ。 それでも、「先生と技術面での基本をじっくりと見直すことで、調子は戻りました。総体の直前までは正直きつかったです。先生の指導は細かい部分まで厳しかったけれど、同時に経験談を面白く話してくれたので楽しいことも多かったですね」と、信頼を寄せる。部長としての責任感やスポーツをしながら人と関わるからこその人間性の大切さ。二人が見せる掛け合いが、3年間のお互いの努力を象徴しているようだ。
 「彼の努力が一番です。でも、結果を出してくれることは指導者としてとても嬉しかったです」と、笑顔で話す市東教諭。高校生活での大会は終了したが、平野君は大学進学と共にハンマー投げ競技の継続を希望している。夏休み中も同校へ練習に通い、モチベーションが下がらないよう意識しているようだ。「今の記録は56mなので、今後は57m投げられるよう頑張りたいです。これからは自分で身体を調整できるように、メニューなどを先生に見てもらいながら自立しようと試行錯誤しているところですね。将来的にはこの体格を生かして、消防士になるのが夢です」と、平野君は強く語った。

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