私のひとり言 赤いほおづき

赤いほおづき

 11月4日は晴天日の確率が1位とニュースで知る。朝から雲ひとつない爽やかな晩秋の午後、庭木の手入れも進み、庭の隅に目をやる。雑草のなかに僅か残っているほおづきが、いつもより青々と元気な姿で株の数も増えていた。 近づいてみると幾つか赤い実も見えた。網を被ったものがほとんどで、写真のようにきれいに透けて実の見えるものは少ない。実のあるものとないものがひとつの茎に連れ下がっている。此処(ここ)に目が止まり「萼(がく)はあるのに実がない、どうしたのだろう?」とシャッターを押した。
 初夏のころは背丈も高く白い花がのぞき、真夏には萼も実を包んで赤く大きく育つ。我が家ではお盆になると提灯の代わりとする慣習から、仏壇に供えるため少し庭の隅に残してある。お店にたくさん並ぶほおづきと比べると、大きさでは負けるし、色も薄く華やかさもなく、地味な存在だ。 それでも庭の隅で実をつけるほおづきと、長い付き合いをしている。乾燥を嫌うのだが、今年の夏は比較的雨が多かったのか、 大きなほおづきをお盆に飾る事ができたように思えた。
 8月が過ぎ月も変わると、間もなく9月から3度も続く体験したことのない暴風雨が直撃、全国広範囲で激甚災害となった。ニュースで目にするたび、これら悲惨な状況に心を痛めている。我が家も今まで体験したことのない出来事に遭遇し、被害は軽かったが、今後は心して自然災害と向き合い防災意識を高めなければと思っている。そんな時、ふと出合った赤いほおづきの野に生きる逞しさを思う。
『野に生きて語るほおづき今ここに』
 ・相川浩:市原市出身。三井造船で定年まで勤め、退職直後の平成20年、自宅敷地にギャラリー・和更堂を設立。多くの郷土の芸術家と交流する。「更級日記千年紀の会」事務局担当。

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ


今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】各賞受賞作品の監督。前列左から2番目は映画祭実行委員長、後列左端は審査員のミヤザキさん。グランプリ受賞の全監督は前列左から3番目。 …
  2.  若い人がイチバン集まりたくなる街イチハラヘ! 未来に向けて動き出す「イチハラ」が、新しい「しあわせ」を発信する2024年の3日間、その各講…
  3.  キセキレイは、よく街中で見かけるハクセキレイの仲間ですが、個体数が少なくなっていることや、渓流や川原などの水辺を好んで生息しているため、ハ…
  4. 【写真】神明さん(左)と宗形さん  丸みのある可愛いフォルムから奏でられる心地よい音。それこそ、オカリナの最大の特徴である…
  5.  今年の夏休みのこと。学童保育のイベントで夏祭りを企画し、子どもたちは、紙で作ったお金で出店屋さんで買い物をしました。一人5百円をどう使うか…
  6.  9月の終わり頃にチャドクガの幼虫(毛虫)の毛に触れてしまったようです。チャドクガは蛾の一種で毛先に強力な毒を含んでおり、お茶の木、サザンカ…
  7.  私の生まれ育った芦別は北海道のほぼ中央に位置し、四季折々の美しい自然と星空に恵まれた町です。  昭和59年に「星の降る里」を宣言し、昭和…
  8.  きつね色にこんがり揚がった生地と香り高いカレーの取り合わせが人気のカレーパン。市原市五井西の『クロワッサンファクトリー五井店』の『じっくり…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】各賞受賞作品の監督。前列左から2番目は映画祭実行委員長、後列左端は審査員のミヤザキさん。グランプリ受賞の全監督は前列左から3番目。 …

スタッフブログ

ページ上部へ戻る