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あなたの心に生き続けている絵本はありますか? かけはしの会
- 2019/12/20
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市原市で活動している『かけはしの会』は、子どもたちが本を通して豊かな感動の時代を過ごせるようにと願い、それをサポートする人たちで構成された組織。文庫や地域の小中学校・保育園などで子どもたちに読み聞かせを行う人たちの学びの場である。1991年に発足した同会は、市原市立中央図書館にて月1回のペースで活動中。内容は、講師を招いたスキルアップ講座を年に2回、おはなし会に使える小道具作りを1回、そして勉強および会員同士の交流を目的とした会を1回。その他の月は、定例会として図書館員によるブックトークや素話(語り)を聞き、持ち寄った絵本を学びあっている。会員は、会で学んだことを各自活動の場で生かしており、最近では学童のおはなし会に出向くこともある。
聞いて想像して
代表の淀美津子さんは、会員になって8年目。きっかけは、自身の子どもが通う小学校で読み聞かせのボランティアを始めたことだった。「現在、教育や保育の場で読み聞かせやおはなし会の需要が高まっています。読む側は十分な準備をして行うことが望ましく、子どもたちに本を手渡す責任はとても大きいと、『かけはしの会』では考えています」と真剣な顔で話す。会員の松山知子さんも淀さんとほぼ同時期に会員になっていて、「小学校の地域によっては、読み聞かせのボランティアが減っている所もある」と、危惧する。市内のどこに住む子どもたちも、同じようにおはなし会を聞くことのできる環境が必要だ。「加茂公民館の『おはなし大好き』に高滝認定こども園の子どもたちが来てくれて、毎回読み聞かせを聞いたり手遊びをしたりする時間は、こちらも元気をもらえます」と、松山さんは笑顔を浮かべた。そして、淀さんは「小学校での国語の授業と読み聞かせは全く違います。読み聞かせでは、絵本や素話の面白さを純粋に楽しんでもらえればそれで良い。語り継がれてきた昔話や、読み継がれてきた良質の絵本には、子どもたちがより良く生きていくために必要なことが入っています。それは、知識とかではなく、生きる力そのものと思います」と、真剣に訴えた。
絵本を読むスピードやページのめくり方、読んでいる時の手の位置や、声のトーン。そんな、読み聞かせの基本の『き』を学べるのが同会の魅力だ。「子ども達は、面白い本は放っておいても見つけて読みます。私達は、子ども達の年齢に見合った良質な本を、意図して手渡しています」と話す淀さんに、「一冊の本に対して、捉え方や表現方法をみんなで話し合うことで、より深い理解が生まれます。結果、実際に読み聞かせをした時に、子どもたちが絵本の世界に入り込んでいるのを感じられるときが増え、本当に嬉しいものです」と続ける松山さん。二人からは次々とオススメする絵本のタイトルが上がった。
絵本を通して繋がる
9月26日(木)、市原市中央図書館で開催した同会のスキルアップ講座では、講師として都内在住の手島一恵さんが来訪した。「大切なのは、長く読み継がれてきた本を選ぶことです。そして、継続して同じ子ども達に読んであげること。同じプログラムでも別のクラスでやってみると、子ども達の反応の同じ所や違う所が分かって面白いですよ」と、アドバイスする。自身は長らく都内の図書館で司書を務め、児童図書館研究会の東京支部立ち上げに尽力。幼稚園などでおはなし会を実施する他、現在は講演会も多く行っている。「子ども達は絵本の内容を自然と、大人が思うよりずっと覚えています。たとえ劇的な展開を迎えない本でも、風や木の音を感じてほっとする気持ちを味わってもらうのもいいでしょう」と、話す手島さんは自身の子ども達3人も本が大好きだったと明かす。「福音館書店の『スモールさんはおとうさん』という絵本は昔、白黒だったんです。でも、子ども達はそれぞれ色が付いていたと話しました。そして確かめると、やっぱり白黒。子ども達の脳内で独自の色をつけていたんです。私は、それでいい。それこそ本との楽しい思い出だと思います」と、熱い想いを語った。
同会は、会の存続と発展を強く望んでいる。「読み聞かせは、とても奥が深いもの。いつの間にか、私のライフワークとなりました。地域の『おはなしおばさん』になりたいです。読み聞かせは、いつでも、誰でも始められます。少しでも興味のある方は一緒に始めてみませんか」と、淀さんは呼び掛けた。活動日や内容など詳細は問合せを。
問合せ:淀さん
TEL.090・3518・2544