ふるさとビジター館 いちはら自然探訪

 冬枯れの草原に鮮やかに映える赤い鳥「ベニマシコ」、バードウオッチャー憧れの鳥である。体長15~16センチ、全身が紅色で黒い翼に鮮やかな二本の白条をもつ。和名にある「マシコ」とは「猿」のことで、漢字では「紅猿子」と表記する。体の中でも顔の部分が特に真っ赤で、猿のように見え、この名前がついたとされている。ただし、紅色なのは雄であり、雌は全体的に淡い黄褐色で雄に比べて地味である。
 北海道や青森県の一部で繁殖し、秋冬には本州以南へ移動して越冬する。房総丘陵では林縁や疎林、耕作放棄地、草原などで、セイタカアワダチソウをはじめとする草の種子、ハンノキの芽等をついばむ姿が観察できる。美しい姿をぜひとも見たくなるが、下草に潜っていることが多く、警戒心が強いこともあり、姿を見つけることは容易ではない。ただ、「フィッ、フィッ」と鳴く優しい地鳴きを頼りにじっとして待つと姿を現わすことがある。
 渡り直後の秋は、少しくすんだ赤色であるが、北国に戻る春が近づくとともに鮮やかさを増し、繁殖期の北国では、美しい深紅色になる。筆者も、北海道で夏季観察したことがあるが、その紅色の美しさに感動したことを覚えている。「ベニマシコ」は秋の季語とされているそうだ。特徴ある地鳴きが聞こえたら、周囲をそっと探して見よう。もし美しい姿に出会えたら、一句捻ってみてはどうか。
(ナチュラリストネット/岡嘉弘)

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…
  2. 【写真】教室の講師と子どもたち  JR浜野駅前と五井駅前でダンススタジオを経営する堀切徳彦さんは、ダンス仲間にはNALUの…
  3.  市原市不入の市原湖畔美術館にて、企画展『レイクサイドスペシフィック!─夏休みの美術館観察』が7月20日(土)に開幕する。同館は1995年竣…
  4. 【写真】長沼結子さん(中央)と信啓さん(右) 『ちょうなん西小カフェ』は、長生郡長南町の100年以上続いた小学校の廃校をリ…
  5.  沢沿いを歩いていたら、枯れ木にイヌセンボンタケがびっしりと出ていました。傘の大きさは1センチほどの小さなキノコです。イヌと名の付くものは人…
  6. 『道の駅グリーンファーム館山』は、館山市が掲げる地域振興策『食のまちづくり』の拠点施設として今年2月にオープン。温暖な気候と豊かな自然に恵…
  7.  睦沢町在住の風景写真家・清野彰さん写真展『自然の彩り&アートの世界』が、7月16日(火)~31日(水)、つるまい美術館(市原市鶴舞)にて開…
  8.  子育て中の悩みは尽きないものですが、漠然と考えている悩みでも、種類別にしてみると頭の整理ができて、少し楽になるかもしれません。まずは、悩み…
  9. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1. 【写真】第1展示室  人々の暮らしを様々な面で支えている人工衛星。ロケットで打ち上げられた人工衛星は地球の周回軌道に投入さ…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る