父の夢の代行を決意した3歳児 歩み続ける野球人生と、福祉の道 特別養護老人ホーム青柳園施設長 恩田淳(じゅん)さん

 青柳園は市原市青柳にある特別養護老人ホーム。大浴場が利用できるため介護を受けるお年寄りが心身共にリフレッシュできる。「おじいちゃん、おばあちゃんが好きなんです」と話す施設長の恩田淳さんは元野球選手だ。今まで歩んできた野球人生や、施設長としての日々を伺った。

甲子園、日本選手権出場

 恩田淳さんは栃木出身。虫取りなど外遊びを好む男の子だった。父親から、自分が若い頃野球をやっていたが、家庭の事情でできなくなったという話を聞き、「じゃあ、お父さんの代わりに俺がやる!」と思ったそう。3歳児の健気な親孝行だった。以来、庭や公園で、親子でキャッチボールの練習をする毎日が始まった。「遊びに行きたくても、父親が『野球の練習をしてから行きなさい』というのが、実は嫌でした(笑)。でも、やっぱり野球が好きだったんでしょうね、本当に毎日毎日、父と練習し続けました」と振り返る表情は、宝物を披露するかのように楽しげだ。  小学校の野球部では、3年生からレギュラーを務めた。ポジションはピッチャー。4年生になると打順は4番を担い、県大会へも出た。中学でもピッチャーとして県大会出場。高校は桐蔭学園(1971年、高校野球夏の甲子園で初出場・初優勝の快挙を成し遂げ、以来、甲子園出場を度々重ねる)でもちろん野球部。1年生の春と3年生の春に甲子園に出場したそうだ。「高校卒業後はアメリカに行きたくて、野球をしていて1年浪人したんです。でも母に渡米を反対されて群馬県にある上武大学(プロ野球選手も輩出。2013年には全日本大学野球選手権大会優勝)に進学し、そこでも野球部に(推薦入学)入りました。1年生と4年生の時、日本選手権に出場しました」と話す。  大学を出るとシダックス硬式野球部(日本野球連盟所属の社会人野球チーム。野村克也氏が一時期監督を務めたことでも知られる強豪。2006年廃部)へ。「都市対抗野球に出場しました。でも5年間続けたところで故障してしまいました。引退する時、これで最後になるから父親に言ったんですよ、小さい時からずっと教えてもらってたので…。『これで野球終わりにします。今までありがとう』って。そうしたら父が『俺の方がありがとう。おまえのおかげで、いろんな人に巡り会えた』って言ってくれたんです。その言葉に感動しました」と恩田さん。選手は引退したが、今はサウザンリーフ市原(市原市に本拠地を置く社会人野球のクラブチーム)でコーチを務め、全国大会を目指している。「野球は個人ではなく皆で戦う、チームワークが重要なスポーツ。そこが好きだから、野球一筋にやってこられたんだと思います」と野球に惹かれる理由を教えてくれた。

お年寄りが好き

 現在は青柳園(介護老人福祉施設)の施設長を務める。家族との関わりを大切にしながら施設の運営、デイサービスの送迎や見守りをはじめ、介護や福祉に関する委員会や集会、様々な行事に積極的に参加しているそうだ。「こういう施設で働いているので、お年寄りの方のことを、一般の方よりはわかっているつもりでいますが、多くの方にお年寄りの方のことを知っていただけたら、もっとお年寄りの方が住みやすい街になっていくのではないかなと…」そんな思いから、昨年11月に行われた認知症を周知する全国展開のリレーイベント「RUN伴」では、市原エリアの実行委員長も務めた(※)。  青柳園でのレクリエーションに参加し、利用者一人ひとりとジョークも交えて爆笑しあう姿、移動の際に、さりげなく肩や背中に手を添える姿に、お年寄り好きな温かい人柄がうかがえる。「利用者さんとのお別れは、悲しくて辛いですが、『ここにいると楽しいよ』とか『ここに来るのが楽しみだよ』と言ってくれる人もいて、そんな言葉に支えられています」と話す。職員の負担軽減のために、介護ロボットや電動ベッドなども導入し、職場のより良い環境づくりも工夫している。  一方、家庭では小学生と高校生の二人の娘の父親だ。姉妹は幼稚園の時からチアダンスを本格的に頑張っているそうだ。昨年1月にテキサス州ダラスで開催されたチアダンス全米大会では、妹さんが出場した日本人チームが、見事、全米チャンピオンに輝いた(※)。娘たちの応援に行くのが楽しみだといい、「娘の友人のお父さんの声援もデカいですが、自分もそれに負けないくらいの、誰にも負けないくらいのデカい声を出して応援しています」とおおらかに笑った。        問合せ:青柳園 TEL.0436・25・1611 ※関連掲載記事 ・チアダンスチームが全米大会で優勝(シティライフ2019年4月27日号) https://www.cl-shop.com/citylife/ichihara/2019/04/25/30618/ ・RUN伴2019千葉 開催(シティライフ2019年2月8日号) https://www.cl-shop.com/citylife/ichihara/2020/02/06/35415/

関連記事

今週の地域情報紙シティライフ

今週のシティライフ掲載記事

  1.  菜の花ACはスポーツの普及、振興、強化ならびに健康づくり活動の支援事業を目的に昨年10月設立。千葉県を中心として活動している。同時に陸上競…
  2.  水辺でよく見かけるアオサギ。日本で見られるサギの仲間の中で最も大型で、長い首とスラリとした足が特徴だ。体長95センチ前後、翼を広げると1メ…
  3. 「梅ケ瀬」それは広く知られた紅葉の景勝地、そして市原には珍しい、つららを始めとする氷の渓谷でもある。養老渓谷駅の先を右に回って進み大福山の下…
  4.  森の中での生活に薪ストーブは欠かす事は出来ません。木々に囲まれた生活をする理由の1つには薪で暖を取りたい事も含まれていました。木は二酸化炭…
  5.  2015年に運行を開始したトロッコ列車「房総里山トロッコ」は、土休日を中心に五井~上総牛久~養老渓谷間を走り、開放感あふれる車窓から、春は…
  6.  国の天然記念物で、国際地質科学連合IUGSが国際境界模式地(GSSP)として承認した地磁気逆転地層・チバニアン。市は多くの人が来訪し交流で…
  7.  来月2月11日(祝)千葉県文化会館で、千葉県在住のふたりの俳優による朗読劇が行われる。出演はプロダクション・タンク所属、見上裕昭さんと、文…
  8. シティライフ編集室では、公式Instagramを開設しています。 千葉県内、市原、茂原、東金、長生、夷隅等、中房総エリアを中心に長年地域に…

ピックアップ記事

  1.  菜の花ACはスポーツの普及、振興、強化ならびに健康づくり活動の支援事業を目的に昨年10月設立。千葉県を中心として活動している。同時に陸上競…

スタッフブログ

ページ上部へ戻る